トリックテイキング入門

ボードゲーム記事、第3回になります。

今回は、「トリックテイキングゲーム」と呼ばれるゲームジャンルについて解説していきたいと思います。

 

ボードゲーム記事の第1回は、「モダンアート攻略論」でした。この記事の中で、「競りゲームはとっつきにくく、難しいとか、何が楽しいのかわからないとか感じる人が多い」という話をしました。トリックテイキングゲーム(以下、トリテと表記します)は、競りよりもこの傾向が強く、苦手としているボードゲーマーも多いと思います。

 

ですので今回のブログでは、トリテの基本的なルール、初心者を惑わすトリテ用語、トリテをプレイする際の戦い方などを紹介していきたいと思います。

 

【1.トリテの概要・用語説明】

トリテとは「トリック」と呼ばれる行為を何回か行うことで構成されるラウンドをプレイし、ラウンド終了時点でゲームごとのルールに則った得点計算が行われるゲームの総称です。基本的にはカードのみを使うゲームであることが多いです。

では、「トリックとは何か」という話に移りたいと思います。

 

<用語①:トリック>→各人手札が何枚か配られている状態から、最初のプレイヤーがカードを出し、順番にプレイヤー全員が1回ずつカードを出す(1枚とは限らず、2枚以上一気に出すこともある)。全員一回ずつカードを出したら、その時点で(多くの場合)一番強いカードを出していたプレイヤーが、その時各人が場に出していたカードをひとまとめにして取る。

この一連の流れ1回分を「トリック」と呼び、カードをひとまとめにして取る行為を、「トリックを取る」という風に表現します。

 

ラウンド終了時(多くの場合全員が手札を出し切ったとき)に、取得したトリックの数、あるいは取得したトリックの中に含まれるカードの種類や数字に応じて、そのラウンドの得点が決定する、というのがトリテの基本的な流れになります。

こうしたラウンドを何回か繰り返し、最終得点が高かったプレイヤーの勝利となります。

 

次に、説明をしやすくするために、トリテの基本的な用語について紹介します。トリテには用語が多いのですが、これは他のゲームにはない独特の決まりが多く、その決まりについていちいち説明的に触れているとルール説明が冗長になってしまうことに起因しているのだと思います。

 

<用語②:スート>→トランプでいう「絵柄」のことです。スペード・クラブ・ダイヤ・ハート。多くのトリテでは、色や柄が複数ある数字カードが用いられ、その色・柄のことを「スート」と呼びます。

 

<用語③:リード>→各トリックにおいて最初にカードを出す人のことを言います。トリック毎のスタートプレイヤーのことですね。たいていの場合、前のトリックを取った人が次のリードとなるため、めまぐるしく移り変わる先手番をスタートプレイヤーと表記するのもなぁ...。ということで存在する用語なのだと思います。

 

<用語④:フォロー>→1回のトリックにおいて、リードが出したスートと同じスートを出す行為を、フォローと呼びます。各種のゲームはフォローに関する取り決めを持っています。

★「マストフォロー」(must)→リードスートを(所持している場合)必ずフォローしなくてはならない

★「メイフォロー」(may)→リードスートに関係なく、どのスートも出してよい。

この2タイプが多いですが、「リードスートや他プレイヤーが出したスートをフォローしてはいけない」などの取り決めがなされている場合もあります。

トリテの分類として、まずフォローに関する規定で分類することが多いです。

典型的なトリテは、マストフォローであることが多いと思います。本説明でも、マストフォローを中心に説明をしていくことになります。

 

<用語⑤:切り札>→そのラウンド(もしくはトリック)において、一番強いと扱われるスートや数字のこと。これはゲームによりあったりなかったりします。

そのラウンドやトリックで「切り札」に指定されているスートや数字は、ひとまとめにして「切り札」という固有のスートとして扱われることが多いです。

 

<用語⑥:ビッド>ラウンドの初めに、手札を確認した後で、「そのラウンドで自分が何トリック取るか宣言すること」をビッドと言います。後に説明するビッド式トリテの場合に行われるもので、ビッドが当たると点数がもらえて、ビッドが当たらないと点数がもらえなかったりマイナス点だったりします。

 

以上が最低限説明に必要な用語になると思います。めんどくさい気持ちはよくわかりますが、ぜひこの6つは抑えてください。

 

【2.トリックテイキングの分類】

トリックテイキングの分類には色々な切り口があります。前述したフォローの規定、切り札の有り無し、など。

慣れた人同士が初めてやるトリテの説明をする時に、「4スート、マストフォローの切り札なし、ビッド式トリテです」などとラーメン二郎級の呪文を唱えて戦慄することがありますが、こう言った分類で概要を把握することは多いです。こういうこと言うからトリテを恐れる人が増えるんですけどね。笑

 

今回説明のために僕が行う分類は、得点方法によるものです。この分類が今回の説明には適していると思います。

 

僕も経験が多い訳ではないですが(世界にはトリテマニアが一定数存在する)、僕が経験した中での得点計算方法は、大きく2つに分類されます。

 

①ビッド式

→先の用語説明で触れた通り。

②ポイント式

→自分が取ったトリックに含まれるカードのポイントを集計します。カードの枚数やカードに書かれている数字の合計が得点になったり、逆に失点にしかならなかったり、ラウンド終了時に特定の条件を満たしていたら得点だったものが失点になったりします。

計算方法は色々ありますが、このタイプは「トリックを沢山取って得点を上げたいけど、そこに執心しすぎるとマイナス点発生条件に引っかかる」などのジレンマが仕組まれている場合が多いと思います。あくまで僕の経験上ですが。

 

ここからはそれぞれの場合の基本的な考え方、戦い方について説明していきたいと思います。

 

【3.ビッド式トリテの戦い方】

ビッド式トリテの解説に移りたいと思います。

僕がよく見るゲームだと、スカルキングやハーフパイントヒーローズ、特殊なものだと最近再販されて話題のノコスダイスなどが分類されます。

 

ビッド式トリテの戦い方で考えるべきことは、大きく分けて2種類あります。

①ビッドをいくつにするか

②ラウンドの中でどうやってビッドを実現するか。または他人のビッドを実現させないか。

この2つについて考えていきたいと思います。

 

①ビッドをいくつにするか。

スカルキングを簡略化した環境を例に取ろうと思います。

 

カード構成は赤、青、黄、黒の4スートで、それぞれ1~13のカードが1枚ずつ。

合計52枚のカードがあり、黒は常に切り札として扱われる。

手札は4枚配られ、毎トリックでは必ず1枚を場に出す。

マストフォローであり、フォローできなかったカードは最弱と見なされる。

ただし、フォローできなかった場合でも、黒は切り札なので最強のスートである。

ビッドは全員同時に発表する。

 

という状況を考えましょう。全くトリテをやったことのない人は状況を想像するのが難しそうですね。すみません...。

 

例えば手札に赤の13があったとします。これは赤の最強カードなので、全員が赤のマストフォローをする状況でこれを出せば必ず勝てます。

しかし、誰かがマストフォローができずに黒を出してきた場合には負けます。

そこそこ強いかな、みたいなことを思います。

 

加えて黒の3があったとします。手札にないスートがリードスートになった場合、他全員がフォローして自分だけが黒を出せた場合などは勝てます。ただ他の人も黒を出してくる場合は、3では心もとないでしょう。

うんまぁ、そこそこ強いか...?みたいなことを思います。

 

さらに青の1があったとします。このカードは誰かが青か黒を出している環境下では必ず負けることができますが、「自分がリードで青1を出したら、誰もフォローしない上に黒も出なかった」場合には奇跡的に勝利してしまいます。

基本的にはクソ雑魚だな、と思います。

 

他に赤8あたりがあるとしましょう。赤8は赤13と黒3よりはちょっと弱そうです。

 

「この4枚で、あなたは何トリック勝てますか?」という問題が、ビッドです。

まぁ赤13と黒3はどっちかは勝つかも...?1くらいが妥当か...?

みたいな感じでビッドします。

 

 

②ラウンドの中でどうやってビッドを実現するか。または他人のビッドを実現させないか。

 

とりあえず最初に考えるべきは、他人のビッドです。

さっきの環境では、このラウンドのトリック数は必ず4トリックです。

4人プレイで1、1、2、0等と出た場合は比較的平和進行が予想されます。

各人勝つつもりのカードで勝って、負けるつもりのカードで負ければいいのですから。

みんなハッピー!がありうる状況になります。

 

逆に1、0、0、1等の場合。必ず誰かが勝ちたくないのに勝たなければならない運命を背負います。悲しみのラウンドになることが予想されます。

 

と、概ねの展開を描きながらラウンドに臨むわけですね。

 

ラウンドに入って考えることは、自分のことと、相手のこと。

ビッド数合計がラウンドのトリック数とあっていない場合は、相手に予定外の勝利や敗北を強要して、悲しみを背負ってもらう必要が出てきます。

大事なのは、「相手が勝とうとしてカードを出しているのかどうか」です。

その予想を外すためには、多少自分の当初の意図とズレたカードを出す場合もあります。トップ目の相手であれば、多少リスクを冒しても沈んでもらわないと困りますし。

また、例えば1ビッドの相手に予想外の勝利を強要できた場合、その相手は他に勝つ予定のカードを持っているわけであり、その相手にもう1トリック取られる可能性が高く、その分も計算に入れて自分がトリックを取れるかどうか考える。

みたいなことを考えながら、うまく他プレイヤーを掌の上で転がすことが必要です。

今後誰が何回トリックを取れば上手い具合に行くか、という青写真を常に描いてプレイするようなイメージです。皮算用を繰り返します。

 

あと、よっぽどのガチ勢でなければ、予想外のトリックが発生した人はしょんぼりしてます。笑

その辺の観察力なんかも大事になってきますね。

 

また、手札が10枚くらい配られる場合は、マストフォローの為に手札を「出させられる」状況も増えます。これを回避する為に、意図的にどれかのスートを手札から枯れさせることで、自由度を上げたり切り札を出しやすくしたりすることも必要になります。自分がリードの時に色が減るように出す、ということですね。

 

因みに自分がリードの時が一番怖くて、出し順が遅くなるほど安心してカードを出せます。よく考えると当たり前のことですけど。勝ちたいカードをリードで出すのはかなりリスキーです。後順のプレイヤーから「あいつ赤13で勝ちに来てるww切り札で倒したろwww」とかやられて悲しみに暮れることもありますし、前述の青1のように何故か弱カードで勝ってしまうことも自分がリードの時に起きます。細心の注意を払いましょう。

 

というようなことを主に考えながら、僕はプレイしています。基本的には濃厚な駆け引きと読み合いを楽しむタイプのゲームジャンルだと思っています。その点は競りと同様ですね。

 

【4.ポイント式トリテの戦い方】

ブログ書くといっつも思うんだけど、前半気合い入れすぎて後半ダレるんですよね。でも頑張ります。偉い。ぼくえらい。

 

さてさて、ポイント式トリテです。

 

僕がやったことがあるところだと、

・得点をひたすら増やしたい

→トランプトリックスゲーム、コブラズ(やや特殊)

・失点をひたすら減らしたい

→ペッパー、テキサスショーダウン

・得点を増やし、失点(減点)を減らしたい

→知略悪略、シュテッヒルン、ボドルインプ

 

あたりが当たるんですかね。色んなゲームがあって、それぞれ趣が違うんです。

この中でルールが単純なものは、ペッパー、テキサスショーダウン、シュテッヒルンあたりだと思います。

ですが、単純なルールのものは、結構「手なり」で出すことも多くなる傾向があると思います。マストフォロー等もろもろで、出せる手の選択肢が少ないことが多いですね。その場合、出せる手の中での細かい最善手を選択していって、得点の期待値を微増させ続け、たくさんのラウンド数が経過した上での積み重なった細かい手の蓄積が勝利につながるようになってます。

なので、解説が細かくてわかりにくいものになってしまうような気がします。

 

ちなみに、これらのゲームは「軽そうなカードゲームじゃね??」ということでゲーム会などで時間調整で立ったりしますが、上記のように本来は多くのラウンド数を重ねることを前提に勝負するものが多いです。つまり、2ラウンドくらいでは運ゲーの域を出ないと思います。僕個人の見解ですが。麻雀を2局だけやって終わらせるようなものです。

なのでたまたまゲーム会でやって、少ないラウンドで負けて、「僕にできることは、いったい何があったのだろう...」と腑に落ちずに嫌いになる人も一定数いると思っています。難しい問題ですね。

 

ということなので、ボトルインプの解説をします(???)※

 

※この注釈は、この後の文章を書ききった僕が戻ってきてここに書き加えたものです。これから始まるボトルインプ解説はまとまりがないにもほどがある、ヤバい文章になってしまいました。無念です。賢い読者の方に置かれましては、適当に読んでスルーすることをお勧めいたします。

 

ボトルインプは僕が最も好きなトリテですが、悲しみと苦しみの要素を多分に含む劇的なマゾゲーです。

僕自身がトリテの中では比較的最初の方に出会った作品であるため、「トリテはどれもこんなもんなんだろう」と思い僕の仲間内に布教しようとしたところ、あまりのマゾゲーっぷりに7割程度の人間が拒絶反応を起こしました。

うちの界隈でトリテが恐怖のゲームジャンルと認識されている問題の元凶のゲームです。

この記事を書いているのも、彼らのこのイメージを払拭するという目的が8割くらいです。

 

ですが、戦略的に見たときに、考えるべきことが(僕が思う)トリテらしさを存分に含むものではあるので、解説のし甲斐はあると思います。ということで、ここではボトルインプを例にとって、ポイント式トリテについてみていきましょう。

勝手に貼っていいものかはわかりませんが、全身全霊の感謝を込めてルール解説のブログURLを記載させていただきます。

http://kidseraph.mods.jp/2016/03/03/bottle_imp/

こちらでルールをご確認ください。

 

・・・。

 

確認していただけましたでしょうか。

それでは戦い方の解説に移りたいと思います。

 

このゲームのカギとなるのは、なんといっても忌々しいボトルの存在です。

このボトルを最後に持っていると、取得トリックの点数が入らないばかりか、マイナス点まで食らいます。1ラウンドで1位のプレイヤーと50点くらい差がつくこともあると思います。これだけは何としてでも避けたい。という状況になるわけです。

 

じゃあどうするのか。考えていきましょう。

 

そもそも。18以下のカードの枚数分だけ、自分のもとにボトルが来てしまう可能性があるわけです。この可能性を消し去り、18以下のカードをすべて処理しきる必要があります。18以下のカードを処理する方法は3通り。

 

①他プレイヤーが、自分の処理したいカードよりも下の数字を所持している状態で、トリックに出してボトルを一時的に獲得する(他に小さい数があるなら、その後に最低一回はボトルの移動が起きる)

②他プレイヤーが自分の処理したいカードより大きな数値でボトルを獲得するトリックで出す(そのトリックには負け、ボトルは他プレイヤーに行き、自分は一枚消費できる)

③処理したいカードよりも、ボトルの表示数値が小さくなるのを待つ。

 

この3つを「自分が行い、他者に行わせない」立ち回りをする必要があります。

 

例えば初手、自分のリードで「18(黄)」を出してボトルを獲得するべきではないです。リードスートが黄色になり、かつ自分がボトルを獲得することが確定するため、後手番者に1~3、5などの問題児を処理される格好の機会を与えることになります。

逆に「16(赤)」などでボトルを獲得する行為はそれなりに安全です。赤にはそもそも小さい数字はないので。

 

などと考えていくと、結局のところ問題になるのは「1~3(黄)」の処理にあることがほとんどです。

 

これに関しては色々考えるべきことはあります。

まとめるのが難しいので、散発的に事例を列挙していきたいと思います。

「なるほどそういうことも起きるのか」くらいの気持ちで眺めてください。

 

★最初の手札マネジメント

まず、中央に埋まっている3枚の「このラウンドには登場しないカード」の存在を考える必要があります。

ここに仮に1と2と3が埋まっている状況があるとすると、開始時点での最小数は4となるので、4でボトルを獲得してしまった場合最下位が確定します。このリスクについては慎重に考える必要があります。4でも危ない場合があるってことです。

また、手札配布段階で1と2が配られ、1を中央に、2を誰かに渡すような行為は有効と思われます。まずまず性格の悪い手といえるでしょう。

2を受け取ったプレイヤーは、1を持つプレイヤーが存在するのかどうかによって回避が変わるため、戦々恐々としながらラウンドを過ごすことになりますね。

中央に埋まっているカードや渡したカードによる情報非対称性を利用しすると、相手が思わぬ形で詰むケースがあるということです。具体的に全ケースを列挙することはできないのですが...(僕の能力不足)

 

「本当にあった怖い話」でいうと、最終ラウンドでトップ目プレイヤーが2と1を所持、かつ赤が1枚だけというケースがありました。彼は2位プレイヤーに1を渡し、もう一方には赤を渡し、2を自分で保持しました。トップなので、当然3などの低めの黄色あたりが返ってきて、赤のない手札が完成してしまいます。

悲劇的に1巡目のリードスートが赤で始まり、マストフォロー義務のない彼は「2(黄)」を堂々と叩きつけ、一瞬にして最終ラウンドを消化試合にしたのでした...。

 

などなど最初の選択がドラマを生むこともあるのです。

 

最初の選択でいえば、黄色を何枚残すかという問題もあると思います。

極端な話でいえば、両隣に黄色を渡して自分の黄色が0枚になった状態で、「1(黄)」と「6(青)」が両隣から来たとしましょう。

リードスートが黄色になったが最後、フォローして出せる手札は「1(黄)」だけなので高確率で死にます。「12(黄)」あたりがボトルを取ってくれるなら助かりますが。

黄色は低い数値が多いためなるべく手放したいところですが、あまりに少ないと詰みます。

数字が大きめの黄色は、中央に埋めたりせずに多く残しておくことが得策といえるかもしれません。

...いや、今思いついた話なんでどうだかわかりませんが。

黄色が多いということは、すなわち「黄色体力がある」状態なので、リードスートとして黄色を出し続けると、相手プレイヤーは黄色がなくなって、1や2などを吐き出して自滅することも考えられますね。1や2を所持していない場合は有効な作戦になるでしょう。

 

逆に自分が1や2持ちの場合、黄色をリードスートにすることは危険極まりない行為です。相手にとっても勇気のいる行動ですが、「3(黄)」でボトルを取られたりしたらえらいことです。

 

結局のところ、1や2の処理は、黄色が枯れるなどで相手が3などを吐き出してボトルを取るタイミングでの処理くらいしか機会がないように思えます。

 

しかし、1と2を持つような絶望的な状況だからといって、あきらめるわけにもいきません。

ラウンド数はたくさんあるのです。トータルで考える必要もあります。

このラウンドは諦めて、ボトルを乱用してトリックを取りまくる。

という選択肢についても考える必要が出てきます。8~18辺りのカードがそれなりにある場合は、この作戦を取ることでダメージを軽減できます。

自分がトップで、相手が自分を陥れようとしていることが明らかな場面では、最初からこの戦略を想定して手札を作るのも一つの手になりますね。

 

★得点を高くしたい!

ボトル回避の話ばかりしましたが、本来このゲームは得点を取るゲームでもあります。いくら人にボトルを押し付けたところで、自分が得点を取れなければジリ貧で負けてしまいます。

この点がこのゲームの憎たらしいところで、ボトルをゲットするインセンティブが結構あるのです。すなわち、相手に(自分にとって)致命的な処理をされなければ、ある程度自分がボトルを取ってもいいという判断になります。こうすることで得点を上げることができます。

33~37あたりを豊富に所持している場合であれば、とにかく誰かに先手必勝でボトルを押し付けて、その後は悠々自適でそれらのカードを使ってトリックを取れますが、そういった強カードがないのであれば、ボトルの魔力に魅せられる必要も出てきます。ギリギリまでボトルで稼いで、最後に手放すという行為が必要になります。

4人プレイなどではこのポジションに入る人がそこそこの確率で出てくるので(着順が悪く稼ぎたい状況で、着順ゆえ酷いカードは回ってこないが高いカードも来なかった人)、その人の動きによって、低い数字を処理するチャンスも生まれてくる、というのが、このゲームが一筋縄ではいかないカラクリになっているのだと思います。

 

★色マネジメント

赤、青については「枯らす」という選択肢を必ず頭に入れる必要があると思います。

特に高めの赤が多い場合などは、青を枯らすことで、多くのトリックを自由に取ることができるようになります。

また、どちらかの色が切れていれば、黄色の下を処理するチャンスも広がります。いずれにせよ、3色をバランスよく持っている場合は、マストフォローに振り回され続けるだけの状態になりがちなので、よほど高い数字が集まって赤も青も手放せない状況でもなければ、どちらかを少なくするべきだとは思います。

 

「スートを枯らす」という行為はマストフォロー系のトリテでは頻出する戦略なので、どういったゲームでも「仮に1スート枯れたらどれだけ自由になって、どれだけ得をするのか」については常に意識しながらプレイするといいと思います。

 

もう思いつかないのでボトルインプの考察を終わります。

 

【5.まとめ】

トリテについていろいろ考えてみましたが、いかがでしょうか。

書いていて思いましたが、トリテはもはや無限に考えることがあるようにも思えるジャンルであると思います。

誰もが自分の選択に疑問を持ちながらプレイしているように思います。トリテに自信を持っている人は少ないような気がします。

 

最後に触れておきたい点が2点。

①ビッド・ポイントに分類されないトリテも結構あります。

思いつくところだと、トリックオブスパイとか、クリスマスの12日とか...。

「5本のきゅうり」ってトリテなんですかね?長年の謎です。

 

②カウンティングという技術の存在

ボトルインプみたいな配り切りのトリテは、終盤になると残っている可能性のある数字が限られてきます。それを判断するためには、使われたカードを把握しておく必要があります。このカードを覚える行為を「カウンティング」と呼びます。僕は記憶力がないのですこぶる苦手ですが、超一流トリックテイカーになるためには、避けては通れない道かもしれません。志の高い方は頑張って鍛えてください。

 

以上、僕がトリテに関して言いたいことをつらつら書いていきました。

ここまで読んだ人はすごいと思いますが、読んでいただいてありがとうございます。

また次回のボドゲ記事でお会いしましょう。