ザ・クルー(Die crew)Part.1

はい。大人気ボードゲームの話をします。

 

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Thomas Sing 作「ザ・クルー(Die crew)」

 

2019年のエッセンを席捲し、2020年のドイツ年間ゲーム大賞のエキスパート賞にノミネートされている作品です。

 

「本当に大人気じゃないか!」

という話なんですが、書きたくなったので書きます。

 

先日初めてプレイさせていただきました。

協力ゲームで、ミッションのレベルが50くらいあるみたいですが、レベル6で負けました。

悔しいので、このゲームについて少しだけ真剣に考えてみました。

この記事では、「実際のところ、このゲームでは何を考えればよいのか??」

ということを、備忘録的に書いていきます。今はほぼ基本的なことしか書けないと思います。

 

…と思って書き始めましたが、基本すらうまくまとめられず長文化したので、Part.2に続きます。

 

 

 

お読みいただくにあたり、1点注意がございます。

 

このゲーム、そもそも「何を考えればよいのか?」をみんなで考えること自体が面白いんだ!!という見方もできるゲームです。

なので、そういうことを楽しみたいor楽しむことになりそうな方は、読まないほうが良いかと思います。

 

どちらかというと、1回やって、「どうすれば良かったんだ...?」と思った方が読んでみると良いことがあるかもしれません。一緒に考えましょう。

 

 

 

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注意事項に同意していただいたうえで、ここから先をお読みください。

 

ゲームのルールについてはここでもざっくり触れますが、詳しくわかりやすいものはほかの方にお任せしたい、といういつもの僕です。

 

https://boku-boardgame.net/the-crew

 

こちらが非常にわかりやすそうですので、土下座しつつ掲載します。

 

さて、ザ・クルーの紹介をしようと思いますが、少々トリテ用語を用いないと面倒なので用いていきます。

用語がよくわからない方は、以前に僕が書いた以下の記事の最初のほうを読んでいただけますと幸いです。

 

https://www.penguin-diary.com/entry/2020/03/12/235728

 

さて、説明に移りましょう。

 

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ゲームの大まかなルールについて触れましょう。

 

①概要

このゲームは、多くのトリックテイキングゲームと同様に、トリックを繰り返すことでゲームが進行します。この過程で、規定された目標を達成することができればミッションクリアとなります。

ミッション中、相談はできません。

 

②カード構成・トリックのルール

・カード構成

赤・緑・黄色・青の4スートが各9枚。それぞれのスートに1~9があります。9×4=36枚。

加えて黒が4枚あり、切り札として扱われます。1~4の数字があり、4枚。

トリックに使うカードはこの40枚で全部です。

 

・手札の配り方

40枚を各プレイヤーに均等に配り切ります。3人プレイの場合は、1人が14枚、2人が13枚ずつ持ちます。

 

・ミッション毎の最初のリードプレイヤー

黒の4を配られたプレイヤーが申告し、最初のリードプレイヤーになります。

 

・フォローの規定

マストフォローになります。切り札についてもマストフォローが適用され、切り札を出せるのは

1)切り札自体がリードスートの場合

2)リードスートが手札にない場合

になります。

 

・トリックの勝敗

リードスートをフォローしたカードの中で、最も数字が高いカードを出した人が、トリックを取ります。ただし、切り札(黒)が出ている場合は、出ている切り札の中で最も数字が高いカードを出しているプレイヤーがトリックを取ります。

 

基本的なトリックのルールはこんなところ。

 

③ミッション毎の目標

ミッションに入る前に、目標が配られます。

ミッション毎に特殊な効果が適用されることもありますが、基本的には以下の要領です。

1) 赤・緑・黄色・青の36枚に対応する、一回り小さいカードがあります。この中からミッションでの規定枚数を引いて、親から1枚ずつ自分の前に置きます。

2)自分の前に置いているカードが、「このミッションで自分が獲得しなければならないカード」です。「獲得する」とは、そのカードが含まれるトリックを取ることを指します。

目標が配られたら、トリックを開始します。

目標がすべて達成されたらミッションは成功し、目標が達成されないことが判明したら(目標カードを別の人が獲得してしまったら)ミッションは失敗します。

 

④ヒント

各プレイヤーはミッション中一度だけ、各トリックが始まる前のタイミングで、ヒントを出すことができます。

ヒントを出すときは、手札のカードを一枚自分の前に出し、その上部・中央・下部のいずれかにマーカーを置きます。

置かれたマーカーは次の意味を表します。

・上部→提示したカードが、自分の手札の中で、そのスートにおける一番大きなカードである。

・中央→提示したカードが、自分の手札の中にあるそのスートの唯一のカードである。

・下部→提示したカードが、自分の手札の中で、そのスートにおける一番小さなカードである。

手札の中で、そのスートにおける最大でも最小でも唯一でもないカードはヒントとして提示できません。青の4,5,6を持っているときに、青の5はヒントにできません。

ヒントとして提示したカードは手札と同様に扱い、任意のトリックで出すことができます。

 

他に「緊急信号」というもあるのですが、簡略化のため置いておきます。

 

 

ルールはこんなところでしょうか。

 

 

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さて、考えましょう。

話を分かりやすくするために、1つめのミッションの状況を考えます。

1つめのミッションでは、最初のリードプレイヤーの前に1枚だけ目標カードが置かれます。これを取ってもらえればミッションクリアというわけです。

仮に青の6が置いてあるとしましょう。

 

【取らせる】とはどういうことか?

目標カードが置かれているプレイヤーを、プレイヤーAとします。

先日プレイしたのが一番単純な3人プレイだったので、話を3人プレイに絞ります。他にプレイヤーB、プレイヤーCがいるとしましょう。A→B→Cの順で時計回りになっているとします。

プレイヤーAに「青6を取ってもらう」状況は大きく3つあります。

 

①リードスートが青のトリックをプレイヤーAが取り、その中に青6が含まれている。

②リードスートが青でないトリックを切り札以外でプレイヤーAが取り、そのトリックにリードスートをフォローできなかったプレイヤーが出した青6が含まれる。

③プレイヤーAが切り札で勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

この3つです。

 

各パターンの実現する状況についてみてみましょう。

 

①リードスートが青のトリックをプレイヤーAが取り、その中に青6が含まれている。

 

1)プレイヤーAが青6を手札に所持していた場合。

→リードスートが青のトリックでプレイヤーAが青6を出して勝利する。

これは考えやすいです。2パターンあります。

 

1-1)プレイヤーAがリードとしてこれを行う場合。

「自分以外のプレイヤーが青の1~5のどれかを最低1枚保有しているor青を保有していない」ということについて確信が持てれば、青6をリードとして出して達成できます。

一番簡単な話でいえば、最初からプレイヤーAが青の6,7,8,9を全部独占していれば、プレイヤーAが青6をリードとして出せば話はおしまいです。

また、仮にプレイヤーBが何かを察知して「自分の手札に青は青5しかない」などと宣言したとすれば、プレイヤーAからはすべての青がどこにあるかわかります。そのような状態でもこれを達成できるでしょう。

 

1-2)プレイヤーA以外がリードとしてこれを行う場合。

仮にプレイヤーBがリードとしてこれを行うとすれば、「プレイヤーAが青6を保有しており、プレイヤーCが青の1~5のどれかを最低1枚保有しているor青を保有していない」ということに確信が持てればこれを行えます。

先ほどと同様に、プレイヤーAが「自分の手札に青は青6しかない」と宣言している場合などはこれができるでしょう。

 

2)プレイヤーAが青6を手札に所持していない場合。

→リードスートが青のトリックでプレイヤーAが勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

これも2パターン。

 

2-1)プレイヤーAがリードとしてこれを行う場合。

プレイヤーAがトリックを取れると確信した状態で、リードとして青を出す。

早い話、手札に青9があって青6がないなら、青9を出せば誰かが青6をアシストしてくれるのでミッションは成功です。

 

少し込み入った話ですが、青8で同じことをしようとすると難しいですね。

初手でプレイヤーAから青8が出ると、意図を図るのが少し難しいです。

仮にプレイヤーAが8も9も持っているのなら、わざわざ8を出すメリットはないです。6を出してほしいのなら明確化のために9でいいです。自分が6を持っていることを伝えたい(プレイヤーAが青9を出したトリックで青6が出ないなら、青6はプレイヤーAのもとにあるとしか考えられない)としても9を出します。

ということなので、とりあえずプレイヤーB,Cの目線からは、プレイヤーAは青9を所持していないことが推測できます。

しかしそこから先の推測は難しいです。仮にプレイヤーBが青6を所持していないのであれば、青6の在り処が特定できません。「プレイヤーAの青は6と8で、8を消費した後に6が唯一であるというヒントを出そうとしている」可能性は拭えません。となると、このトリックを取っていいものかもよくわからない。青が4と9のような状況では、9を出せば「プレイヤーCが青は青6しか持っていない」ケースでは自分が青6を取ってしまうし、逆に4を出したがプレイヤーCから青6が出てこなければ、手元に青9が残ってしまいます。この時青6はプレイヤーAの手元ですから、青がリードカラーのトリックでプレイヤーAに青6を取らせることが困難になります。いずれにせよ、何やら雲をつかむような判断を迫られます。

 

ということで、青8でこの強硬策を取るのは難しいんじゃないかな、と今思いました。

 

このように、「確信が持てていない」行動をとると場が混沌としてくるということです。

 

 

え、この時点でめちゃくちゃ長いんですけど大丈夫ですか?

 

次に行きます。

 

 

②リードスートが青でないトリックを切り札以外でプレイヤーAが取り、そのトリックにリードスートをフォローできなかったプレイヤーが出した青6が含まれる。

 

青6は当然プレイヤーAの手元にはないケースです。青6を持っているプレイヤーの特定色を枯れさせて、青6を引き出すという戦法です。

極端な話、黄色を全部プレイヤーAが持っているなら、黄色がリードカラーのトリックが1週すればプレイヤーAがすべての黄色を持っていることが明らかになるので、あとはプレイヤーAが出す黄色に青6が負ければ良いのです。

 

この方法は確信を持っていなくても、試してみる価値はあります。初めてリードカラーが黄色になったとき、プレイヤーCが黄色をフォローできなかったとしましょう。するとプレイヤーAとBからは、黄色の在り処がすべてわかります。黄色について、

プレイヤーA:1,3,4,9

プレイヤーB:2,5,6

プレイヤーC:なし

のような状況では、プレイヤーBは自分のもとに青6がないなら、黄色2などをリードとして出して様子を見ることができます。プレイヤーCは青6を持っていれば、安心して出せます。

なぜ安心して出せるのかというと、このトリックはプレイヤーAが勝とうと思えば勝てるトリックだからです。もしも黄色2がプレイヤーBからリードとして出たとき、黄色について

プレイヤーA:1

プレイヤーB:2,3,4,5,6,9

プレイヤーC:なし

という状況であればこのトリックはプレイヤーBが黄色2でトリックを取ります。ですが、この状況でリードプレイヤーのプレイヤーBが黄色の2を出すでしょうか?「プレイヤーAとBは互いに黄色の状況を理解している」という共通見解がある中で、2を出す理由がないです。手札が黄色しかないとしても、出すなら9です。自分がこのトリックに勝つのなら、勝つことを明確化したほうが良いに決まっています。

手札構成が違っても、手札が黄色しかないor黄色以外を出したくない状況でトリックを取ってしまうのなら、「見えている黄色の中での最高値を出す」が最適解です。「手札が黄色しかなくて、かつ場の現状の最高値も手札にない」場合はもちろん最高値以外が出てきますが、その場合はプレイヤーAが最高値を持っているので勝てます。

「プレイヤーAとBは互いに黄色の状況を理解している」という状況で、わざわざ自分がトリックを取ってしまう黄色を中途半端な数字で出す意味がないのです。ですので、安心できるのです。

 

…しっかり考えると、結構互いの能力を信用していないとうまくいきませんね。

うまくいかないので、何とかみんなで理解して行こう!というのがこのゲームなのかもしれません。

 

 

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あの...思ったより長かったので...いったん切ります...。

 

ごめんなさい。次回も続けるので、どうぞよしなに。