はい。これから大人気ボードゲームの紹介をします。
Michael Schacht 作 「ムガル」
(上が旧版、下が新版)
ボードゲーム記事も5個目にしてようやくこの時が来ましたね!
僕のことを知っている人にとっては、出オチ感が否めないと思います!ごめんね!!
これは大人気ボードゲームです(大声)
どれくらい人気かということを示したいので、
「ボードゲーマー100人に聞いたらこんな感じになるだろう」という円グラフを用意しました。下記になります。
ご覧の通り、大人気ボードゲームであることがわかります。
なんせ3%の人間が「大好き!」なのです!!
今時のマーケティングはコアファン重視のファンマーケティングですから、大人気ですね!(?)
しかし問題があり、なんと90%の人が「嫌い」なんです。
嘆かわしい。
そもそもボードゲーマーの皆さんは、(僕はそうでもないですが)寛大な方が多いです。
多少の好き嫌いはあれど、「そのゲームはちょっとやりたくない」というゲームは少ないという印象です。
2時間超級のゲームであれば、あまり好まないゲームに難色を示す人は居てもおかしくないですが、
このゲームは1時間あれば終わります(悩みすぎて深淵を覗き、深淵に覗き返されなければ)。
そんな皆さんが「ムガルは嫌です」と仰るのです。
なんということでしょう。これではゲーム会で立卓しません。
そういうわけで、世界中のムガルファンは悲しんでいることと思います。
さて、今日僕がこれを書き始めたのは、
皆さんにムガルを好きになってもらうためではありません!!!
それは無理です!!!!!
ムガル愛を語る選ばれし人間は僕しかいないから書くのです。
「男には、負けると分かっていても戦わなくてはならない時がある...」
ということなので、ムガルの愛のセレナーデを奏でましょう(?)
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ルールについては、いつものたっくんさんブログをご覧ください。
https://www.tk-game-diary.net/mogul/mogul.html
新版と旧版でルールが違うのですが、上記は旧版のルールで、とりあえず今から話すのは旧版の話で、僕が好きなのも旧版です。
あまり新版って見ないですけどね。旧版もあんまり売ってないけど、新版はもっと売ってない気がする。
でも新版にもちゃんと触れるので安心してください。
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さて、ムガルというゲームは、競りゲームに分類されると思います。
「居残り競り」とでも言いましょうか。
・一枚ずつコインを出していって、「やーめた」と思った人から降りていく。
・抜けた人にはなんらかの恩恵がある。
・残った人は主目的を達成できる。
まぁこの辺が、「居残り競り」タイプの共通点かなと思います。
競りシステムの観点で見たときに、このゲームが嫌われる要素は2つあると思います。
①競りから抜けた時に得られる金額の相場感が掴めない
3人ベストと言われている気がするので、例えば3人プレイで自分が初手番、全員コインを乗っけて1周し、3金乗っかってる状態で自分の手番が来たとします(ちょっと想像しづらくて申し訳ありません)
これを今取ると、1枚は自分の手の中から出しているわけなので、このラウンドでの収入は差し引き2金ということになります。
2金です。2金を得て1ラウンドが終了します。
2金を得て1ラウンドが終了して、ご満悦のボードゲームプレーヤーはほぼいないでしょう。かなり渋いです。
7wondersで渋々カード捨てたって3金貰えますから。
ところが、2金収入では渋いので4金目を出したとしましょう。仮に2手番目の人も1金乗せたとしましょう。
すると、3番手プレイヤーには5金が乗った状況で手番が回ってきます。これを取れば、このプレイヤーは差し引き4金をこのラウンドで得ることになります。3人プレイで最初に6金ずつ配られていて、誰も借金をしていないとすれば、全体には18金しかないことになります。
このラウンドが最初のラウンドだったと仮定すれば、4金プラスなら所持金は10金になり、10/18のお金を手にすることができます。まずまずの状況と言えるかもしれません。ということで、3番手がこれをとったとしましょう。
するとどうでしょう。
1番手の自分は2金を払った状態で、場にはお金が乗っておらず、2番手プレイヤーと一騎打ちになります。
この状況から、このラウンドの収支を2金プラスにするためには、
「2番手プレイヤーと互いに4金ずつ出し合って、8金貯まった状態で降りて引き取る」
ということが起きなければなりません。
中盤以降に借金地獄が発生しており、魅力的なカードが出ている場合ならあり得ますが、序盤ではこんなことは起きません。
こうなると、いま僕たちは「このラウンドでお金が欲しいなら、2金プラスの時点で降りなければならなかった」
という驚愕の事実を突きつけられました。
渋い。
渋すぎる。
このゲーム、貰えるお金がかなり渋いんです。
「えー、2金なのー??しょぼいー」とかいってスルーしていると、痛い目を見る仕組みになっています。
そのあまりの渋さに思考が付いて行かず、90%の人間はムガルが嫌いになることでしょう。
さらに、もう一つ悲しいことがあります。
②競りに残れたとして、貰える賞品が渋い
また渋いのかお前、という話なんですが、渋いです。
このゲームにおける競りの対象は、「1枚の株券」or「特定の色の株の売却権」です。
まずもってめちゃくちゃ渋いのが、売却権です。
序盤においてはそもそも株券が手元に全然ないですし、あったとしても少ない点数の株券を売って点数を稼ぐのも考えものです。
株券の価値が累積的に上昇するので、株券を売るという行為は、未来の高額株券を手放してしまうことにもなりかねません。
ということは何かというと、序盤の売却権はほぼ無です。
ほぼ無なので、お金ではなく点数の得られる行動をしたいのであれば、競りで1位にならなければなりません。
ナンバーワン以外に意味はないのです。オンリーワンを気取っている場合じゃない。
しかし1位になろうとして競りに残れば、①で説明した通り、お金視点の損益分岐点がかなり遠くなります。
誰も幸せになっていませんね。
想像よりも渋いリターンを求めなければならない上に、うまく立ち回っても渋い。これがムガルです。
この他にも、
・「相手が株券を取得しそうなので競り2着に甘んじたら空売りをされて売れない」とか。
・まだ残っているはずの売りカードが出ないまま大暴落カードによってゲームが終了したりとか。
悲しいことがたくさん起きます。渋いことがたくさん起きます。
うーん、マゾゲーはたのしい!!✌(’ω’✌ )三✌(’ω’)✌三( ✌’ω’)✌
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ということで、皆さんがムガルを嫌う理由がご理解いただけたかな、と思います。
しかし、理解したからと言って何かが解決するわけではないのです。
ムガルはムガルなのです...。
他の何かにはなれないのです...。
ということで、嫌いなひとは嫌いなままで生きてください。こればっかりは止められません。
僕はわずかに生息しているムガル星人たちと密会して遊びます。
新版の話を最後にしましょうかね。
あんまり好きじゃないんで、ざっくりしか覚えてないんですけど。
競りに残った2人が利益を得られるのは同じなのですが、第3の選択肢「マップに駒を置く」が登場します。
同じところに駒を置くほど得点が高くなるような感じだったと思いますが、確か1個置いただけでも1点もらえたと思います。
つまり重要なのは「点数確定行動が登場した!」ということです。
いままで虚無だった競り2番手に対する、かなり大きな救済措置です。
さすがのシャハトもやりすぎたと思ったんでしょう。
これでムガルは悲しみをかなり緩和しましたが、
悲しくないムガルをやる必要があるのか...?
それなら素直にゲシェンクをやればよくないか...?
ということになると思うので、僕は旧版ムガルを愛し続けます。
以上、今回もお読みいただきありがとうございました。