王と枢機卿

 

はい。今日も大人気ボードゲームの話をしていきましょう。

 

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Michael Schacht 作「王と枢機卿

 

僕はシャハト信者なので、またシャハトの名作を選んでしまいました。

ズーロレットは異端です。

 

この作品は普通に人気あると思います。名作です。最高のゲームです。

ムガルに比べると全然とっつきやすく、選ばれしマゾゲー適性者でなくとも楽しめるゲームかなと思います。

 

 

このゲームの最高ポイントといえば、そう、

枢機卿争い>ですね。

これがめちゃくちゃアツい。このアツさをただ語りたいがために、今日はiPadを取り出しました。

 

 

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いつもどおり、ルール解説を土下座しながらたっくんさんに託します。

https://www.tk-game-diary.net/kardinal_und_koenig/kardinal_und_koenig.html

 

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このゲームの得点方法は3種類。修道院得点と、道の得点と、枢機卿得点。

 

修道院得点は結構積み上げ式というか、確定している点数を追う形なんで手堅く稼ぐことができます。

道の得点も重要ですが、あまりここにかまけるわけにもいかないので、副次的に狙う形になるでしょう。

そして枢機卿得点はおなじみの「ナンバーワン以外に意味はない」型の得点です。

 

 

この記事では、激化するナンバーワン枢機卿争いについてのみ触れます。

 

他の要素は無視します!ごめんなさい!

 

 

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さてさて、最初にこのゲームの仕組みについて。

これは枢機卿争いだけでなく修道院争いにも言えることですが、このゲームでは、

「ナンバーワンを取りたいが、ある程度他の人もコマを置いてくれないと得点が上がらない」

というジレンマが強く仕込まれています。

 

早々に「この地域は俺のもの!!」と確定させてしまうと、みんなその地域に入りたがらなくなり、

点数が伸びなくなるのです。

 

ですから、

「ほれほれ、ここ空いてるよ?得点取れそうだよ?来ないの??」

みたいな顔で餌を撒きつつ、相手が食いついてきたら、

「はいザンネーン!ここは僕の支配下でーす!!」

といって餌を引き上げることが必要になります。

 

文字にしたら信じられないほど性格悪いですね。

 

ここからは、この餌の撒き方と、餌ごと手を食われないための引き上げ方について、アツく語っていきたいと思います。

 

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ちょっと今日は画像を使ってお話しますね。

以下の状況を見てください。

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黄色いイタリアに的を絞って話をします。

正直、こんな序盤から枢機卿置くか微妙なんですが(しかもこの形を作るにはルールの制約上2手番かかる)

話の簡略化のために一旦受け入れてください。

 

この状況から黒以外のプレイヤーがイタリアに自力で枢機卿を置くためには、

まず修道院を2個おいてイタリアに枢機卿を2個置ける状態にして、それから枢機卿を置く。

という手順を踏む必要があります。

 

1手番に置けるコマ数は最大2個なので、どうあがいても2手番かかります。めんどくさいですね。これではなかなかやる気が出てきません。

とはいえここに枢機卿を置いてもらわないと、黒プレイヤーとしては美味しくない。そこで餌を撒いてあげましょう。

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このように修道院を1個置くと、イタリアにはもう1個枢機卿が置ける形になるので、他プレイヤーも「それなら仕方ない」と思ってくれるかもしれません。

 

青プレイヤーが素直に、

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こう置いてくれると黒プレイヤーはご満悦でしょう。

修道院の最大数は余裕で黒が持っているため、イタリアに置ける枢機卿の数は黒プレイヤーのサジ加減次第です。

青プレイヤーが自力でここにもう一つ枢機卿を置くためには、4個イタリアに置かなくてはなりません。

4個でも理論上2手番でできますが、かなり難しいでしょう。

この状態であれば、黄色を2枚貯められたタイミングで、

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こうしてしまえば黒プレイヤーのイタリアでの枢機卿ナンバーワンは確定です。嬉しいですね。

ところがそうはさせまいと、青プレイヤーがこういう風に入ってきたとしましょう。

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これは背筋が寒いです。

「青プレイヤーが自力でここにもう1つ枢機卿を置くためには、修道院2個を先に置かなければならないので2手番かかる」

という点では最初と変わりませんが、

「もしもう1つ枢機卿を置けたなら、青プレイヤーは確実にイタリアの枢機卿で単独トップを取れる」

というめちゃくちゃでかいリターンが生まれます。

チャンスがあれば青プレイヤーはここを取りに来るでしょう。

 

こうなったが最後、黒プレイヤーは悠長に餌を撒いている気分から目を覚まして、早急にイタリアに修道院枢機卿を同時置きすることが必要です。

「あれ?青は2手番かかるんだから、そんなに焦らなくてもいいんじゃないの?」

と一瞬思ってしまいますが、めちゃくちゃ焦らないといけません。

次のターン、仮に青プレイヤーから見た状況が、以下のようだったとしましょう。

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すると青プレイヤーは、紫だか茶色みたいなカード2枚でワイルドカードを作り、イタリアに修道院を1つ置くことができます。

この時点で青プレイヤーは、

「次に修道院枢機卿を同時置きできれば、1手番でイタリアを手中に収めることができる」

という状況に変化します。変化した上で、

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場から2枚とってこの形になれば、次のターンにはイタリアが陥落します。

この時、黒プレイヤーに残された手番はなんと1手番。

 

この1手番で「イタリアに修道院枢機卿を同時に置いて、イタリア陥落を阻止する」という動きが必要になります。

 

さて、そう都合よく黄色が2枚あるでしょうか??

 

なんなら、黄色が2枚作れないってこと、今青プレイヤーにバレてたりしませんか??

って話ですね。

 

餌を撒いている間中、ずっと黄色のケアをすることはできません。だって手札3枚しかないですから。

他のところに効率よく置こうとすれば、当然手札から黄色が逃げて行きます。

山札ではなく場からばかりカードをとっていれば、当然黄色が逃げていき、黄色が入っていかない手札を相手に確認されてしまいます。

 

このゲームはプレイ中、常にこんなことが「各地で」起きています。

 

全てを真面目に考えるならば、

 

・餌を撒きつつ、

・有事の際にはすぐにカバーできるように目を光らせながら、

・一方で他のプレイヤーの領土を餌ごと食いちぎるチャンスを狙い、

・手札はなるべくばれないように山札から適度に引き、

・でも効率よくカードを重ねて2個ずつ置きたい。

 

みたいなとんでもないバランス感覚を要求されます。

 

最高のゲームですね。

 

何度でも楽しみたい名作と言えるでしょう。

 

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ということで、王と枢機卿における枢機卿争いについて、アツく語りました。

王と枢機卿が最高のゲームであるということが、存分におわかりいただけたかと思います。

 

自粛開けには是非遊びましょう。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

次回もどうぞよしなに。