メディナ

はい。今日紹介するボードゲーム大人気ではありません。

 

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Stefan Dorra 作 「メディナ

 

繰り返しますが、このゲームは大人気ボードゲームではないです。

僕は大好きなボードゲームなので、何とかこじつけて大人気ボードゲームとして紹介したかったのですが、このゲームが大好きだという人の顔が1人も浮かばなかったため、泣く泣く不人気ボードゲームとして紹介する運びとなりました。

死ぬほどマイナーなゲームというわけでもないとは思うのですが...。なんか自信なくなってきました。

メディナ星人に出会いたいです。

 

さて、これほど面白いボードゲームが大人気ではないというのには理由があるはずです。

その理由を追求しつつ、皆さんにこのゲームの魅力についても知っていただくべく、今日はiPadではなくThinkPadを取り出しました。

 

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まず初めにルールを確認していただきたいので、今日もたっくんさんに解説していただきます。いつも申し訳ないとは思っています。

 

https://www.tk-game-diary.net/medina/medina.html

 

さて、たっくんさんのブログの箱絵画像ですが、この記事の最初の箱絵画像とは異なりますね。たっくんさんが解説されているのは原版のほうで、僕が所持しているのは第2版になります。

第2版では、

・2人用のルールの追加。

・コマの色の変更。

・基本ルールへの要素追加。

の3つの変更がなされています。

 

とりあえず2人用ルールについては置いておいて(適当)、4人プレイ前提で行う際の変更について触れたいと思います。

その他細かい処理も変わっていたりするのですが、その辺は他のブログさんの解説をご覧ください…。

 

コマの色の変更

 

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ご覧の通り、建物コマから黄色と黒がなくなり、代わりにオレンジと紫が追加されています。また屋根コマの色も心なしか明るくなっているように思います。

華やかな街ができそうですね。インスタ映えします。

 

アグリコラが「動物コマがかわいい」などともてはやされているくらいですから、このコマの綺麗さだけで大人気ボードゲームになってもおかしくないんですが...。

 

 

ルールの追加

追加される点は3つあります。

 

新版でのセットアップ図をご覧いただきましょう。追加点に番号を振ってあります。

 

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①「井戸」の追加

井戸という要素があります。何やら水色の丸の周りに灰色の丸がついているコマです。

この井戸は、セットアップ時に人コマと同じように任意のどこかに置かれてスタートします。

井戸があると何が起こるのかというと...、

 

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実際にこのようにコマが置かれるわけではないですが、説明のためにコマを置いています。

・井戸の周りの8マスには人しか置けない。

・自分の所有する建物の一部(ヤギ小屋を含む)が、井戸から縦横に2マス分離れた位置(画像では赤の屋根が配置されている位置)にあれば、+4点のボーナスが得られる。

というルールになっております。

 

②塔タイル獲得ボーナス

元のルールでは、塔から伸びる城壁に自分の建物群が隣接したときに、その塔の塔タイルがもらえて、得点になります。そして後から別の人の建物群が同じ塔から伸びる城壁に接したら、タイルを奪われます。

 

第2版で追加された塔タイルの獲得ボーナスは、それぞれの塔に最初に隣接したプレイヤーのみがもらえます。

何がもらえるかというと、人コマです。

1点の塔タイル獲得時には3人、2点は2人、3点は1人、4点のタイル獲得時はもらえません。

 

人コマをたくさん持っていれば、自分の都合の良い方向に人の行列を伸ばしやすくなりそうですね。

 

ティータイル

新たに「ティータイル」というタイルが出てきます。

このタイルは全部で6枚あります。紫の建物群を所有した順番に応じて、ティータイルを獲得できます。

最初の人は3枚、次の人が2枚、その次が1枚で、4人プレイ時には最後の人はもらえません。

このティータイルは何のために使うのかというと、ティータイムを開くためです。

ティータイル所有者は、1手番に1枚までティータイルを使用し捨てることで、そのターンに置かなければならないコマの数を2個→1個に減らすことができる。

 

ということです。

建設はちょっとお休みして、ティータイムを開いて優雅にお茶を飲み、ついでにお茶を濁そうということですね(?)

 

これは、「やったー!1個しか置かなくていい!!」ということです。

つまりは「なるべく自分のターンでコマを置きたくない!!」

という状況が想定されるということで、

何やらマゾゲーの臭いがします。

 

この辺が第2版におけるルール変更になります。

 

 

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さて、ルールをご確認いただいたところで、このゲームの特徴について考えていきたいと思います。大きく3つに分けて書きました。

 

①序盤が無

 

...。

 

「悪い情報を最初に出したほうがいい」と誰かが言っていたので、このゲームの大きな欠点について触れておきましょう。

 

「どの得点要素も、自分の色の屋根を置いた建物群が関係してくる」

ということはここまでの説明でおわかりかと思います。

 

では、ゲームのはじめ、【4色の建物・屋根・ヤギ小屋・商人・城壁】を与えられた状況で、どう動けばいいでしょうか。

 

答えは、不明です。

 

そもそも誰のものになるかわからない建物群を作らなければいけないのですから、得点の高そうなものを作ればよいのか、そうでないのかもわかりません。

最初から戦略を決め打ちしている(俺は紫を絶対に最初に取る!お茶会を3回開くんだ!など)ならば、紫を人や井戸の近くにおいて得点を高め、「比較的小さいうちからでも紫を抑えよう」というような思考はギリギリ可能ですが、そうであっても紫を取れるとも限りません。むしろ将来性の高そうな紫を先に取られてしまい、お茶会がパーになるやもしれません。

 

基本的には序盤は「無」です。

 

最初から無を突き付けられるゲームはそう多くはないと思いますので、かなりのプレイヤーが、「意味不明なゲームを始めてしまった...」と絶望することが想定されます。

 

しかしこの状況を抜け、誰かが建物群を所有し始めると、だんだんとゲームが動き始めます。

動き始めたら、どうなるでしょうか。

 

②やりたいことがたくさんある

「どの得点要素も、自分の色の屋根を置いた建物群が関係してくる」

という話でしたが、得点要素については多岐に渡りますので、やりたいことも多岐に渡ります。

 

1)建物を大きくしたい(ヤギ小屋の設置を含む)

2)建物タイルは欲しい&奪われたくない

3)城壁に隣接したいし、なんなら塔タイルも確保したい

4)人を自分の建物群の近くに連れてきたい

5)自分が確保した色の建物は、なるべく地の利がないところに置きたい。他の建物やヤギ小屋で範囲を狭めるなどして邪魔もしたい。特に得点が高そうなプレイヤーが確保していない色の建物でそれをやりたい。

6)井戸の点数も欲しい

 

これだけやりたいことが沢山あるわけですから、得点が出そうな行為を優先して実行したいところです。

 

おや?やりたいことだらけでは、自分のターンになるべくコマを置きたいのでは??

お茶を飲んでる場合ではないのでは??

と思ってしまいそうですが...、

 

③やりたくないこともたくさんある

そう、やりたくないこともたくさんあるのです。

「自分の得点を伸ばしたい」というのはもちろんこのゲームの主要なモチベーションですが、「相手の得点を伸ばしたくない」というのもまた、重要なモチベーションになります。

 

わかりやすい話でいえば、

1)自分が所有した色の建物タイルは、もう置きたくない。何ならゲーム終了まで握り潰したい。

ということが挙げられると思います。相手の得点にしかならないコマですから。

このゲームでは、各色の建物を自分の物にする度に、その色の洗面器に顔を付けることになります。

 

※洗面器に顔を付ける→自分がやりたくないプレイをなるべく先延ばしすること。「苦しい場面でもやらずに耐える」というプレイ感が、「息を止めて洗面器に顔を付け続ける苦しさ」に似ていることからこう表現される。本ブログの基本用語。

 

さらに、一見自分の利益になる行為でも、

2)ある城壁を伸ばせば自分の隣接点が増えるが、代わりに城壁が相手の建物に近づいてしまう。そうなれば得点を取られ、場合によっては塔タイルも奪われるので、この行為も先延ばししたい。なんならその相手がしびれを切らして城壁を伸ばしてくれるのを待ちたい。

3)人コマにおいても同様の状況が起きる。

4)自分が確保したい建物群を大きくしたいが、自分が大きくしてしまっては相手に取られるので、先には置きたくない。

5)塔タイルを先に取ると奪われそうなので、相手に先に取らせて奪いたい。

などなど、様々な「相手に先にやってほしいなぁ...」という状況が生まれます。

 

洗面器がそこらじゅうに置いてあるといっても過言ではありません。

 

苦しい!

 

うーん、マゾゲーはたのしい!!✌('ω'✌ )三✌('ω')✌三( ✌'ω')✌

 

というわけです。

 

...。

 

しかしそんな苦しさから救ってくれるのが、素敵なティータイル。

「洗面器からいったん顔を上げて、お茶を飲んで休憩しましょう」

ということです。

 

素晴らしいプレイ感とフレーバーの合致(?)

 

 

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ということで、このゲームは、

「まず、序盤は無である。序盤を抜けるとやりたいことはたくさんあるが、基本的には相手に先にやって欲しいことが多く、しぶしぶ妥協点を見出しながらプレイする」

というゲームだと言えると思います。

 

ルールを聞いて、

「よし、でかい建物群を確保してご満悦になろう!!」

と思う方が多いと思いますが、そんなことは滅多にないです。

 

色んな感想を持つ方がいるとは思いますが、

僕はこのゲームは、マゾゲーの中のマゾゲーだと思っています。お前がナンバーワンだ。

 

もはや洗面器に顔を付けることが目的化していると言っても過言ではありません。

 

 

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ということで、今日はキングオブマゾゲーの「メディナ」について紹介していきました。紹介を書いていて、「これは人気出ないわ...」とは思いました。正直。

 

「怖いもの見たさで1回やってみたい」

でもいいので、プレイしてみてください。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

次回もどうぞ、よしなに。