ザ・クルー(Die crew)Part.2

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前回の記事

https://www.penguin-diary.com/entry/2020/06/07/225017

の続きになります。

 

前回の記事の続きから始めるので、もしこの記事を読みたいと思っていただけるのなら、前回の記事をまず読んでいただければと思います。

 

 

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さてさて、前回までの整理をします。

ミッション1で、最初のリードプレイヤーであるプレイヤーAの前に、目標カードとして「青6」が置いてある状況でした。

そして、プレイヤーAに特定のカードを取らせる方法は、

①リードスートが青のトリックをプレイヤーAが取り、その中に青6が含まれている。

②リードスートが青でないトリックを切り札以外でプレイヤーAが取り、そのトリックにリードスートをフォローできなかったプレイヤーが出した青6が含まれる。

③プレイヤーAが切り札で勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

の3つであるという話で、前回の記事では①と②について考えました。

ここからは③について考えていきましょう。

 

③プレイヤーAが切り札で勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

細かく分けて申し訳ないですが、この状況は3種類に分かれます。

1)リードスートが青である。

2)リードスートが黒(切り札)である。

3)リードスートが青と黒のどちらでもない。

それぞれ見ていきましょう。

 

1)リードスートが青である。

このケースには条件が2つあります。

1-1)プレイヤーAが青を保有していない。

リードスートが青の状態でプレイヤーAが切り札を出すのですから、これは大前提です。この上で、

1-2)プレイヤーAが切り札を出すことで、確実にトリックを取れる。

ということが必要です。

 

プレイヤーAが最初のリードであれば、黒の4を所持しているわけですから、この切り札が出てくればプレイヤーAは確実にトリックを取れます。なので、この状況なら「プレイヤーAは青を持っていない」ということに確信が持てれば、リードスートを青にして、プレイヤーB,Cのどちらかが青6を出せばプレイヤーAのもとに青6が行きます。

状況により少し考えることはありますが、特に難しいことはないと思います。

 

2)リードスートが黒(切り札)である。

この場合、「黒をフォローできなかったプレイヤーから青6が出てきて、それをプレイヤーAが獲得する」という流れになります。ですので、

「青6を所持しているプレイヤーが切り札を所持しておらず」「黒がリードスートであればプレイヤーAが確実にトリックを取れる」という状況であればこれを行うことができます。

 

例えばリードプレイヤーが黒をすべて保有していれば、黒4をリードとして出せば誰かから青6が出てきますね。

黒が3枚捨て札になった状況で、プレイヤーAから黒が出てきても、やはり実現します。

他の手段より少し限定的ですが、一応こういうことも起きます。

 

3)リードスートが青と黒のどちらでもない。

これはもっと限定的です。

「プレイヤーAの特定色が枯れており、かつ切り札を所持しており、その色がリードになれば切り札で勝てる」かつ「青6を所持するプレイヤーもその色が枯れており、その色がリードになれば青6を出せる」

この2つを確信できる状況はそう多くないと思いますし、そもそもこの状況が完成する確率も高くはなさそうです。

 

③はスムーズに終わりましたね。

 

 

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さて、前回の記事と合わせて、「特定のプレイヤーに特定のカードを獲得させる」方法について説明しました。

 

①リードスートが青のトリックをプレイヤーAが取り、その中に青6が含まれている。

②リードスートが青でないトリックを切り札以外でプレイヤーAが取り、そのトリックにリードスートをフォローできなかったプレイヤーが出した青6が含まれる。

③プレイヤーAが切り札で勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

 

この3つの方法のうち、「どれかを実現させよう」という魂胆でこのゲームは進んでいきます。基本的にカードを出すときは「どの人に対してどれを狙えるのか??」ということを意識しますし、可能な限りどれかを達成する意図をもってカードを出す必要があります。

 

特にリードプレイヤーは意図を明確にして行動ができるので、慎重にカードを選ぶ必要があります。

「自分がリードプレイヤーなのだが、何も狙えないし予備動作も浮かばない」という状況も出てきますが、その場合はとりあえず負けそうな弱いカードを出して、誰か別の意図を持てるプレイヤーにリードを回したいです。これも1つの立派な意図です。

 

 

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これを確認したところで、1つ例を見てみたいと思います。

状況は同様で、最初のリードプレイヤーAの前に青6のカードが置かれているミッション1の最初のトリックだと思ってください。

この初手、プレイヤーAの手から、赤9が出てきました。

この時、プレイヤーAは何をしようとしているでしょうか??

 

まず、「どうにもならないので誰かにリードを回したい」という状況ではなさそうです。もちろんかなり特殊な手札を持っていれば、どうにもならずに赤9が出ることもあるかもしれませんが、確率としては低そうに思うので、この可能性は除外します。

そうなると、プレイヤーAはどうやらこのトリックを取ろうとしているようです。

「このトリックを取って、次のリードで更にやりたいことがあるぞ!」

と言っているように思えます。

 

さて、何がしたいのでしょう。

先ほどの3つの手法のうち、どれを狙っているのか考えましょう。

 

①リードスートが青のトリックをプレイヤーAが取り、その中に青6が含まれている。

これを狙っている状況を考えましょう。

まず、この手法には青についての情報・状況しか絡みません。赤の情報・状況が変わっても、特にいいことはないです。

ですから、これを狙っているとすれば、「赤9を出すことで、青の情報や状況に変化が出る」ということです。つまり「赤のトリックをフォローできなかった人から青が出てきて、状況・情報が変化してほしい」と思っています。2パターンです。

 

1)プレイヤーAが自分で青6を持っている場合

この場合、プレイヤーAは、「青がリードのトリックで、自分が青6を出して勝ちたい」と思っています。このために赤9を出すということは、「赤9を出して赤のトリックを回すことで、青がリードの時に他プレイヤーが確実に青6に負けられる状況を作りたい」という狙いです。赤のトリックを何回か回して、他プレイヤーの赤を枯れさせ、手札を整理してほしいということです。

青の7,8,9があれば、早く処理してほしいということを言っています。

 

2)プレイヤーAが自分で青6を持っていない場合

「自分が青の7,8のいずれかを所持しているが、青のトリックで勝てるかわからないので、この情報を確定させたい」と思っています。

この場合もやはり、青の7,8,9を早く処理してあげたほうが良いでしょう。 

 

②リードスートが青でないトリックを切り札以外でプレイヤーAが取り、そのトリックにリードスートをフォローできなかったプレイヤーが出した青6が含まれる。

これは話が単純です。やはり「赤9のトリックを回すことで、他プレイヤーの赤を枯れさせたい」ということで、その上で「自分が確実に取れる赤がリードのトリックで、青6を出してほしい」ということです。

赤を出し続けて、プレイヤーB,Cが赤をフォローできなくなれば、プレイヤーB,Cは青6をアシストするチャンスが出てきます。

 

③プレイヤーAが切り札で勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

これを狙うために赤9を出していると考えましょう。

「リードスートが青の時に切り札を出して勝ちたい」あるいは「リードスートが黒の時に切り札を出して勝ちたい」とは思っていなさそうです。この2つに赤は絡みません。そう思っているのなら、赤9なんて出していないで別のことをすればよいです。

 

プレイヤーAは「赤9でトリックを回したうえで、やりたいことがある」と言っているようなので、この2つの可能性は薄いでしょう。

厳密に考えれば、「他プレイヤーの切り札を減らして、自分が切り札でトリックを取れるようにしたい」という意図はあり得ますが、他プレイヤーからこれを察知するのはかなり難しいです。

 

「リードスートが青と黒のどちらでもないトリックで、切り札を出して勝ちたい」

これについては一応あり得ます。赤9を出すことで自分の手札の赤がなくなる、あるいはその次のトリックで赤がなくなる、ということを考えていると思います。そのうえで、

「赤がリードのトリックを切り札で取って、青6を取りたい」ということなのですが、前述のとおり、これができるケースは結構レアケースです。

初手からそんなものを狙うでしょうか?

それを狙うくらいだったら、情報構成の異なる別のプレイヤーにリードを渡したほうが賢明です。

 

 

...ということなので、赤9が最初に出てきたとき、かなりの確率でプレイヤーAは、「ほかのプレイヤーの手から赤をなくすことで、青6の獲得につなげたい」と思っているようです。ですので、赤を多く保有していそうです。

 

それがわかったらどうすればいいのか?という話ですが、仮にこの考察の通りに、赤についての手札構成が以下のようだったとしましょう。

 

プレイヤーA:2,3,4,6,7,9

プレイヤーB:5,8

プレイヤーC:1

 

さて、プレイヤーAから赤9が出てきたとき、プレイヤーBは赤5と赤8のどちらを出せば良いでしょうか?

 

答えはもちろん、赤8です。

 

赤5と赤8、どちらを出してもこのトリックはプレイヤーAが取ります。しかし、プレイヤーAは「リードとして赤のトリックを回し続けたい」と思っているはずです。

それなのにプレイヤーBが自分の手札に赤8を残してしまったら、次の赤のトリックはプレイヤーBが取ってしまい、プレイヤーBにリードが回ります。ここからプレイヤーAの当初の意図を達成するためには、別の方法でプレイヤーAをリードにする必要があります。まぁできるでしょうが、面倒です。

なので強いほうの赤8から処理し、プレイヤーAに気持ちよく赤のトリックで勝ち続けてもらうのが良いでしょう。

 

さて、一番簡単なこのケースでは致命傷になりませんでしたが、ミッションが進む毎に目標の数は増えていきます。

このブログではおなじみの、「各所で同様の思考・狙いが発生している」という状況です。

3人プレイを想定すれば、トリックは最大で13回です。無駄なトリックを回している暇はないのです。

 

ですので「自分の意図を明確にし、相手の意図を適切に読み取る」

ということが必要になりそうです。そこのところを極めて行くと、このゲームが上手になるのかもしれません。

 

 

余談ですが、おそらくミッションのレベルが上がると、「すべてを確信する出し方では間に合わない」という状況になるかもしれません。50レベルあるのだからなりそうです。

その時、例えば同じプレイヤーで何度もプレイしていれば、「ある状況であれば80%程度でも可能性に賭けて勝負をすることもある」などの暗黙の了解がプレイヤーの間に結ばれるかもしれません。

 

そういった了解を積み重ねて、阿吽の呼吸でトリックを回し続けることができるようになれば、そのプレイヤーたちは固い絆で結ばれることになるでしょう。

 

その結束を体験してもらうことが、もしかするとこのゲームの本当の目的なのかもしれません。

 

 

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なんかまとまった風なことを言ったので、2パートに及ぶザ・クルー解説はここで終わりにしたいと思います。

 

ぜひとも50レベルの世界を見てみたいものですね。

 

なお、一生懸命可能性を洗い出したつもりですが、何か漏れがあるかもしれません。あったらすみません。

ですが、むしろ「このブログのミスを探してやるぜ!!」と様々な可能性を考えてみると、自然と上達するかもしれません。一緒に考えましょう。

 

 

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

次回もどうぞ、よしなに。

ザ・クルー(Die crew)Part.1

はい。大人気ボードゲームの話をします。

 

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Thomas Sing 作「ザ・クルー(Die crew)」

 

2019年のエッセンを席捲し、2020年のドイツ年間ゲーム大賞のエキスパート賞にノミネートされている作品です。

 

「本当に大人気じゃないか!」

という話なんですが、書きたくなったので書きます。

 

先日初めてプレイさせていただきました。

協力ゲームで、ミッションのレベルが50くらいあるみたいですが、レベル6で負けました。

悔しいので、このゲームについて少しだけ真剣に考えてみました。

この記事では、「実際のところ、このゲームでは何を考えればよいのか??」

ということを、備忘録的に書いていきます。今はほぼ基本的なことしか書けないと思います。

 

…と思って書き始めましたが、基本すらうまくまとめられず長文化したので、Part.2に続きます。

 

 

 

お読みいただくにあたり、1点注意がございます。

 

このゲーム、そもそも「何を考えればよいのか?」をみんなで考えること自体が面白いんだ!!という見方もできるゲームです。

なので、そういうことを楽しみたいor楽しむことになりそうな方は、読まないほうが良いかと思います。

 

どちらかというと、1回やって、「どうすれば良かったんだ...?」と思った方が読んでみると良いことがあるかもしれません。一緒に考えましょう。

 

 

 

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注意事項に同意していただいたうえで、ここから先をお読みください。

 

ゲームのルールについてはここでもざっくり触れますが、詳しくわかりやすいものはほかの方にお任せしたい、といういつもの僕です。

 

https://boku-boardgame.net/the-crew

 

こちらが非常にわかりやすそうですので、土下座しつつ掲載します。

 

さて、ザ・クルーの紹介をしようと思いますが、少々トリテ用語を用いないと面倒なので用いていきます。

用語がよくわからない方は、以前に僕が書いた以下の記事の最初のほうを読んでいただけますと幸いです。

 

https://www.penguin-diary.com/entry/2020/03/12/235728

 

さて、説明に移りましょう。

 

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ゲームの大まかなルールについて触れましょう。

 

①概要

このゲームは、多くのトリックテイキングゲームと同様に、トリックを繰り返すことでゲームが進行します。この過程で、規定された目標を達成することができればミッションクリアとなります。

ミッション中、相談はできません。

 

②カード構成・トリックのルール

・カード構成

赤・緑・黄色・青の4スートが各9枚。それぞれのスートに1~9があります。9×4=36枚。

加えて黒が4枚あり、切り札として扱われます。1~4の数字があり、4枚。

トリックに使うカードはこの40枚で全部です。

 

・手札の配り方

40枚を各プレイヤーに均等に配り切ります。3人プレイの場合は、1人が14枚、2人が13枚ずつ持ちます。

 

・ミッション毎の最初のリードプレイヤー

黒の4を配られたプレイヤーが申告し、最初のリードプレイヤーになります。

 

・フォローの規定

マストフォローになります。切り札についてもマストフォローが適用され、切り札を出せるのは

1)切り札自体がリードスートの場合

2)リードスートが手札にない場合

になります。

 

・トリックの勝敗

リードスートをフォローしたカードの中で、最も数字が高いカードを出した人が、トリックを取ります。ただし、切り札(黒)が出ている場合は、出ている切り札の中で最も数字が高いカードを出しているプレイヤーがトリックを取ります。

 

基本的なトリックのルールはこんなところ。

 

③ミッション毎の目標

ミッションに入る前に、目標が配られます。

ミッション毎に特殊な効果が適用されることもありますが、基本的には以下の要領です。

1) 赤・緑・黄色・青の36枚に対応する、一回り小さいカードがあります。この中からミッションでの規定枚数を引いて、親から1枚ずつ自分の前に置きます。

2)自分の前に置いているカードが、「このミッションで自分が獲得しなければならないカード」です。「獲得する」とは、そのカードが含まれるトリックを取ることを指します。

目標が配られたら、トリックを開始します。

目標がすべて達成されたらミッションは成功し、目標が達成されないことが判明したら(目標カードを別の人が獲得してしまったら)ミッションは失敗します。

 

④ヒント

各プレイヤーはミッション中一度だけ、各トリックが始まる前のタイミングで、ヒントを出すことができます。

ヒントを出すときは、手札のカードを一枚自分の前に出し、その上部・中央・下部のいずれかにマーカーを置きます。

置かれたマーカーは次の意味を表します。

・上部→提示したカードが、自分の手札の中で、そのスートにおける一番大きなカードである。

・中央→提示したカードが、自分の手札の中にあるそのスートの唯一のカードである。

・下部→提示したカードが、自分の手札の中で、そのスートにおける一番小さなカードである。

手札の中で、そのスートにおける最大でも最小でも唯一でもないカードはヒントとして提示できません。青の4,5,6を持っているときに、青の5はヒントにできません。

ヒントとして提示したカードは手札と同様に扱い、任意のトリックで出すことができます。

 

他に「緊急信号」というもあるのですが、簡略化のため置いておきます。

 

 

ルールはこんなところでしょうか。

 

 

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さて、考えましょう。

話を分かりやすくするために、1つめのミッションの状況を考えます。

1つめのミッションでは、最初のリードプレイヤーの前に1枚だけ目標カードが置かれます。これを取ってもらえればミッションクリアというわけです。

仮に青の6が置いてあるとしましょう。

 

【取らせる】とはどういうことか?

目標カードが置かれているプレイヤーを、プレイヤーAとします。

先日プレイしたのが一番単純な3人プレイだったので、話を3人プレイに絞ります。他にプレイヤーB、プレイヤーCがいるとしましょう。A→B→Cの順で時計回りになっているとします。

プレイヤーAに「青6を取ってもらう」状況は大きく3つあります。

 

①リードスートが青のトリックをプレイヤーAが取り、その中に青6が含まれている。

②リードスートが青でないトリックを切り札以外でプレイヤーAが取り、そのトリックにリードスートをフォローできなかったプレイヤーが出した青6が含まれる。

③プレイヤーAが切り札で勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

この3つです。

 

各パターンの実現する状況についてみてみましょう。

 

①リードスートが青のトリックをプレイヤーAが取り、その中に青6が含まれている。

 

1)プレイヤーAが青6を手札に所持していた場合。

→リードスートが青のトリックでプレイヤーAが青6を出して勝利する。

これは考えやすいです。2パターンあります。

 

1-1)プレイヤーAがリードとしてこれを行う場合。

「自分以外のプレイヤーが青の1~5のどれかを最低1枚保有しているor青を保有していない」ということについて確信が持てれば、青6をリードとして出して達成できます。

一番簡単な話でいえば、最初からプレイヤーAが青の6,7,8,9を全部独占していれば、プレイヤーAが青6をリードとして出せば話はおしまいです。

また、仮にプレイヤーBが何かを察知して「自分の手札に青は青5しかない」などと宣言したとすれば、プレイヤーAからはすべての青がどこにあるかわかります。そのような状態でもこれを達成できるでしょう。

 

1-2)プレイヤーA以外がリードとしてこれを行う場合。

仮にプレイヤーBがリードとしてこれを行うとすれば、「プレイヤーAが青6を保有しており、プレイヤーCが青の1~5のどれかを最低1枚保有しているor青を保有していない」ということに確信が持てればこれを行えます。

先ほどと同様に、プレイヤーAが「自分の手札に青は青6しかない」と宣言している場合などはこれができるでしょう。

 

2)プレイヤーAが青6を手札に所持していない場合。

→リードスートが青のトリックでプレイヤーAが勝利し、そのトリックに青6が含まれる。

これも2パターン。

 

2-1)プレイヤーAがリードとしてこれを行う場合。

プレイヤーAがトリックを取れると確信した状態で、リードとして青を出す。

早い話、手札に青9があって青6がないなら、青9を出せば誰かが青6をアシストしてくれるのでミッションは成功です。

 

少し込み入った話ですが、青8で同じことをしようとすると難しいですね。

初手でプレイヤーAから青8が出ると、意図を図るのが少し難しいです。

仮にプレイヤーAが8も9も持っているのなら、わざわざ8を出すメリットはないです。6を出してほしいのなら明確化のために9でいいです。自分が6を持っていることを伝えたい(プレイヤーAが青9を出したトリックで青6が出ないなら、青6はプレイヤーAのもとにあるとしか考えられない)としても9を出します。

ということなので、とりあえずプレイヤーB,Cの目線からは、プレイヤーAは青9を所持していないことが推測できます。

しかしそこから先の推測は難しいです。仮にプレイヤーBが青6を所持していないのであれば、青6の在り処が特定できません。「プレイヤーAの青は6と8で、8を消費した後に6が唯一であるというヒントを出そうとしている」可能性は拭えません。となると、このトリックを取っていいものかもよくわからない。青が4と9のような状況では、9を出せば「プレイヤーCが青は青6しか持っていない」ケースでは自分が青6を取ってしまうし、逆に4を出したがプレイヤーCから青6が出てこなければ、手元に青9が残ってしまいます。この時青6はプレイヤーAの手元ですから、青がリードカラーのトリックでプレイヤーAに青6を取らせることが困難になります。いずれにせよ、何やら雲をつかむような判断を迫られます。

 

ということで、青8でこの強硬策を取るのは難しいんじゃないかな、と今思いました。

 

このように、「確信が持てていない」行動をとると場が混沌としてくるということです。

 

 

え、この時点でめちゃくちゃ長いんですけど大丈夫ですか?

 

次に行きます。

 

 

②リードスートが青でないトリックを切り札以外でプレイヤーAが取り、そのトリックにリードスートをフォローできなかったプレイヤーが出した青6が含まれる。

 

青6は当然プレイヤーAの手元にはないケースです。青6を持っているプレイヤーの特定色を枯れさせて、青6を引き出すという戦法です。

極端な話、黄色を全部プレイヤーAが持っているなら、黄色がリードカラーのトリックが1週すればプレイヤーAがすべての黄色を持っていることが明らかになるので、あとはプレイヤーAが出す黄色に青6が負ければ良いのです。

 

この方法は確信を持っていなくても、試してみる価値はあります。初めてリードカラーが黄色になったとき、プレイヤーCが黄色をフォローできなかったとしましょう。するとプレイヤーAとBからは、黄色の在り処がすべてわかります。黄色について、

プレイヤーA:1,3,4,9

プレイヤーB:2,5,6

プレイヤーC:なし

のような状況では、プレイヤーBは自分のもとに青6がないなら、黄色2などをリードとして出して様子を見ることができます。プレイヤーCは青6を持っていれば、安心して出せます。

なぜ安心して出せるのかというと、このトリックはプレイヤーAが勝とうと思えば勝てるトリックだからです。もしも黄色2がプレイヤーBからリードとして出たとき、黄色について

プレイヤーA:1

プレイヤーB:2,3,4,5,6,9

プレイヤーC:なし

という状況であればこのトリックはプレイヤーBが黄色2でトリックを取ります。ですが、この状況でリードプレイヤーのプレイヤーBが黄色の2を出すでしょうか?「プレイヤーAとBは互いに黄色の状況を理解している」という共通見解がある中で、2を出す理由がないです。手札が黄色しかないとしても、出すなら9です。自分がこのトリックに勝つのなら、勝つことを明確化したほうが良いに決まっています。

手札構成が違っても、手札が黄色しかないor黄色以外を出したくない状況でトリックを取ってしまうのなら、「見えている黄色の中での最高値を出す」が最適解です。「手札が黄色しかなくて、かつ場の現状の最高値も手札にない」場合はもちろん最高値以外が出てきますが、その場合はプレイヤーAが最高値を持っているので勝てます。

「プレイヤーAとBは互いに黄色の状況を理解している」という状況で、わざわざ自分がトリックを取ってしまう黄色を中途半端な数字で出す意味がないのです。ですので、安心できるのです。

 

…しっかり考えると、結構互いの能力を信用していないとうまくいきませんね。

うまくいかないので、何とかみんなで理解して行こう!というのがこのゲームなのかもしれません。

 

 

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あの...思ったより長かったので...いったん切ります...。

 

ごめんなさい。次回も続けるので、どうぞよしなに。

メディナ

はい。今日紹介するボードゲーム大人気ではありません。

 

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Stefan Dorra 作 「メディナ

 

繰り返しますが、このゲームは大人気ボードゲームではないです。

僕は大好きなボードゲームなので、何とかこじつけて大人気ボードゲームとして紹介したかったのですが、このゲームが大好きだという人の顔が1人も浮かばなかったため、泣く泣く不人気ボードゲームとして紹介する運びとなりました。

死ぬほどマイナーなゲームというわけでもないとは思うのですが...。なんか自信なくなってきました。

メディナ星人に出会いたいです。

 

さて、これほど面白いボードゲームが大人気ではないというのには理由があるはずです。

その理由を追求しつつ、皆さんにこのゲームの魅力についても知っていただくべく、今日はiPadではなくThinkPadを取り出しました。

 

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まず初めにルールを確認していただきたいので、今日もたっくんさんに解説していただきます。いつも申し訳ないとは思っています。

 

https://www.tk-game-diary.net/medina/medina.html

 

さて、たっくんさんのブログの箱絵画像ですが、この記事の最初の箱絵画像とは異なりますね。たっくんさんが解説されているのは原版のほうで、僕が所持しているのは第2版になります。

第2版では、

・2人用のルールの追加。

・コマの色の変更。

・基本ルールへの要素追加。

の3つの変更がなされています。

 

とりあえず2人用ルールについては置いておいて(適当)、4人プレイ前提で行う際の変更について触れたいと思います。

その他細かい処理も変わっていたりするのですが、その辺は他のブログさんの解説をご覧ください…。

 

コマの色の変更

 

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ご覧の通り、建物コマから黄色と黒がなくなり、代わりにオレンジと紫が追加されています。また屋根コマの色も心なしか明るくなっているように思います。

華やかな街ができそうですね。インスタ映えします。

 

アグリコラが「動物コマがかわいい」などともてはやされているくらいですから、このコマの綺麗さだけで大人気ボードゲームになってもおかしくないんですが...。

 

 

ルールの追加

追加される点は3つあります。

 

新版でのセットアップ図をご覧いただきましょう。追加点に番号を振ってあります。

 

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①「井戸」の追加

井戸という要素があります。何やら水色の丸の周りに灰色の丸がついているコマです。

この井戸は、セットアップ時に人コマと同じように任意のどこかに置かれてスタートします。

井戸があると何が起こるのかというと...、

 

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実際にこのようにコマが置かれるわけではないですが、説明のためにコマを置いています。

・井戸の周りの8マスには人しか置けない。

・自分の所有する建物の一部(ヤギ小屋を含む)が、井戸から縦横に2マス分離れた位置(画像では赤の屋根が配置されている位置)にあれば、+4点のボーナスが得られる。

というルールになっております。

 

②塔タイル獲得ボーナス

元のルールでは、塔から伸びる城壁に自分の建物群が隣接したときに、その塔の塔タイルがもらえて、得点になります。そして後から別の人の建物群が同じ塔から伸びる城壁に接したら、タイルを奪われます。

 

第2版で追加された塔タイルの獲得ボーナスは、それぞれの塔に最初に隣接したプレイヤーのみがもらえます。

何がもらえるかというと、人コマです。

1点の塔タイル獲得時には3人、2点は2人、3点は1人、4点のタイル獲得時はもらえません。

 

人コマをたくさん持っていれば、自分の都合の良い方向に人の行列を伸ばしやすくなりそうですね。

 

ティータイル

新たに「ティータイル」というタイルが出てきます。

このタイルは全部で6枚あります。紫の建物群を所有した順番に応じて、ティータイルを獲得できます。

最初の人は3枚、次の人が2枚、その次が1枚で、4人プレイ時には最後の人はもらえません。

このティータイルは何のために使うのかというと、ティータイムを開くためです。

ティータイル所有者は、1手番に1枚までティータイルを使用し捨てることで、そのターンに置かなければならないコマの数を2個→1個に減らすことができる。

 

ということです。

建設はちょっとお休みして、ティータイムを開いて優雅にお茶を飲み、ついでにお茶を濁そうということですね(?)

 

これは、「やったー!1個しか置かなくていい!!」ということです。

つまりは「なるべく自分のターンでコマを置きたくない!!」

という状況が想定されるということで、

何やらマゾゲーの臭いがします。

 

この辺が第2版におけるルール変更になります。

 

 

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さて、ルールをご確認いただいたところで、このゲームの特徴について考えていきたいと思います。大きく3つに分けて書きました。

 

①序盤が無

 

...。

 

「悪い情報を最初に出したほうがいい」と誰かが言っていたので、このゲームの大きな欠点について触れておきましょう。

 

「どの得点要素も、自分の色の屋根を置いた建物群が関係してくる」

ということはここまでの説明でおわかりかと思います。

 

では、ゲームのはじめ、【4色の建物・屋根・ヤギ小屋・商人・城壁】を与えられた状況で、どう動けばいいでしょうか。

 

答えは、不明です。

 

そもそも誰のものになるかわからない建物群を作らなければいけないのですから、得点の高そうなものを作ればよいのか、そうでないのかもわかりません。

最初から戦略を決め打ちしている(俺は紫を絶対に最初に取る!お茶会を3回開くんだ!など)ならば、紫を人や井戸の近くにおいて得点を高め、「比較的小さいうちからでも紫を抑えよう」というような思考はギリギリ可能ですが、そうであっても紫を取れるとも限りません。むしろ将来性の高そうな紫を先に取られてしまい、お茶会がパーになるやもしれません。

 

基本的には序盤は「無」です。

 

最初から無を突き付けられるゲームはそう多くはないと思いますので、かなりのプレイヤーが、「意味不明なゲームを始めてしまった...」と絶望することが想定されます。

 

しかしこの状況を抜け、誰かが建物群を所有し始めると、だんだんとゲームが動き始めます。

動き始めたら、どうなるでしょうか。

 

②やりたいことがたくさんある

「どの得点要素も、自分の色の屋根を置いた建物群が関係してくる」

という話でしたが、得点要素については多岐に渡りますので、やりたいことも多岐に渡ります。

 

1)建物を大きくしたい(ヤギ小屋の設置を含む)

2)建物タイルは欲しい&奪われたくない

3)城壁に隣接したいし、なんなら塔タイルも確保したい

4)人を自分の建物群の近くに連れてきたい

5)自分が確保した色の建物は、なるべく地の利がないところに置きたい。他の建物やヤギ小屋で範囲を狭めるなどして邪魔もしたい。特に得点が高そうなプレイヤーが確保していない色の建物でそれをやりたい。

6)井戸の点数も欲しい

 

これだけやりたいことが沢山あるわけですから、得点が出そうな行為を優先して実行したいところです。

 

おや?やりたいことだらけでは、自分のターンになるべくコマを置きたいのでは??

お茶を飲んでる場合ではないのでは??

と思ってしまいそうですが...、

 

③やりたくないこともたくさんある

そう、やりたくないこともたくさんあるのです。

「自分の得点を伸ばしたい」というのはもちろんこのゲームの主要なモチベーションですが、「相手の得点を伸ばしたくない」というのもまた、重要なモチベーションになります。

 

わかりやすい話でいえば、

1)自分が所有した色の建物タイルは、もう置きたくない。何ならゲーム終了まで握り潰したい。

ということが挙げられると思います。相手の得点にしかならないコマですから。

このゲームでは、各色の建物を自分の物にする度に、その色の洗面器に顔を付けることになります。

 

※洗面器に顔を付ける→自分がやりたくないプレイをなるべく先延ばしすること。「苦しい場面でもやらずに耐える」というプレイ感が、「息を止めて洗面器に顔を付け続ける苦しさ」に似ていることからこう表現される。本ブログの基本用語。

 

さらに、一見自分の利益になる行為でも、

2)ある城壁を伸ばせば自分の隣接点が増えるが、代わりに城壁が相手の建物に近づいてしまう。そうなれば得点を取られ、場合によっては塔タイルも奪われるので、この行為も先延ばししたい。なんならその相手がしびれを切らして城壁を伸ばしてくれるのを待ちたい。

3)人コマにおいても同様の状況が起きる。

4)自分が確保したい建物群を大きくしたいが、自分が大きくしてしまっては相手に取られるので、先には置きたくない。

5)塔タイルを先に取ると奪われそうなので、相手に先に取らせて奪いたい。

などなど、様々な「相手に先にやってほしいなぁ...」という状況が生まれます。

 

洗面器がそこらじゅうに置いてあるといっても過言ではありません。

 

苦しい!

 

うーん、マゾゲーはたのしい!!✌('ω'✌ )三✌('ω')✌三( ✌'ω')✌

 

というわけです。

 

...。

 

しかしそんな苦しさから救ってくれるのが、素敵なティータイル。

「洗面器からいったん顔を上げて、お茶を飲んで休憩しましょう」

ということです。

 

素晴らしいプレイ感とフレーバーの合致(?)

 

 

-------

 

 

ということで、このゲームは、

「まず、序盤は無である。序盤を抜けるとやりたいことはたくさんあるが、基本的には相手に先にやって欲しいことが多く、しぶしぶ妥協点を見出しながらプレイする」

というゲームだと言えると思います。

 

ルールを聞いて、

「よし、でかい建物群を確保してご満悦になろう!!」

と思う方が多いと思いますが、そんなことは滅多にないです。

 

色んな感想を持つ方がいるとは思いますが、

僕はこのゲームは、マゾゲーの中のマゾゲーだと思っています。お前がナンバーワンだ。

 

もはや洗面器に顔を付けることが目的化していると言っても過言ではありません。

 

 

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ということで、今日はキングオブマゾゲーの「メディナ」について紹介していきました。紹介を書いていて、「これは人気出ないわ...」とは思いました。正直。

 

「怖いもの見たさで1回やってみたい」

でもいいので、プレイしてみてください。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

次回もどうぞ、よしなに。

 

 

ラブクラフトレター

はい。今日も大人気ボードゲームの紹介をします。

 

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カナイセイジ作 「ラブクラフト・レター」

 

これは大人気ですよ。僕の周りでだけ。

なぜか僕の周りの界隈は、このゲームの魅力に取り憑かれてしまったため、

このゲームが「ゲームの合間の空き時間にとりあえずやるゲームランキング」第1位を獲得しています。プレイしすぎて写真の箱もボロボロです。

年末の「日本版 the one hundred 」では、我々はラブクラフトレターに組織票を投じる謎の集団になっています。

 

しかし、他のゲーム会では大人気の様子がないので、

これはおかしいな??ということでiPadを取り出しました。

これを機に世間的にも大人気ゲームの地位を獲得して、

打倒!テラフォーミングマーズ!!

と行きたいところです。

 

あ、今日はマゾゲーじゃないので、安心してください(?)

 

 

————

 

 

さて、ゲームの説明に入る前に、

実は僕にはこのゲームがなぜ一般的には大人気でないか、大方の予想はついています。

 

クトゥルフよくわかんない」

これでしょう。

 

クトゥルフがテーマという時点で、かなり排他的な臭いがします。

僕もさして詳しくはないんですが、クトゥルフ神話の原作はゲームのタイトルにも入っている H.P.ラブクラフト さんが書かれている書物らしいです。僕は全然読んでないですけど。なんか難しそうなんで。

 

日本で親しまれている形としては、「クトゥルフ神話TRPG」のテーマとしての活躍が大きいと思います。

 

そんなクトゥルフですが、ハタから見る分にはイマイチ世界観がわからない。

よくわからないし、ホラーとか興味ないし、近づきたくない。

というボードゲーマーの方は多いのではないでしょうか。

 

安心してください。クトゥルフなんかどうでもいいです。

 

僕もこのゲームを初めてやった時は、クトゥルフ?何このタコ美味しいの?状態でした。

その状態でもこのゲームは楽しめます。大丈夫です。

 

ちなみにその後、クトゥルフ神話TRPGの方にもちょこちょこ触れるようにはなりましたが、

依然としてクトゥルフ神話がなんなのかはよくわかりません。

 

でもこのゲームは楽しいです。

前置きはこのくらいにしておいて、ゲームの紹介に移ります。

 

 

———— 

 

 

いつも通りルールについては他の人に任せたい所ですが、

残念ながらたっくんさんは書かれていないようで、他のブログ等を検索しても、詳しいルールまで書いている方はパッと見ではいないようです。しょうがないので今日は苦手なルール解説から入ります。

 

 

————

 

このゲームはあの有名な『ラブレター』のスピンオフゲームです。

基本的なルールはラブレターと同じですが、カードの名前が異なるのと、「狂気カード」というカードが入っている点が異なります。

 

一応イチから説明しますが、細かい所は省いています。すみません。

なんせ僕が持っているわけではないので(!?)

 

 

————

 

【ゲームの進行】

このゲームは、

「1枚の手札を持ち、自分の番になったら1枚のカードを引き、1枚のカードを出す」

ということで進行します。

カードには1から8までの数字が書かれており、それぞれ固有の効果を持ちます。

この効果により、各プレイヤーは「脱落」することがあります。

 

【勝利条件】

ラウンドごとの勝利条件は、

①自分以外のプレイヤーが全員脱落する。

②山札がなくなるまで脱落せずに残ったプレイヤーが複数いる場合、最後に持っている手札の数字を比較して、大きいプレイヤーが勝利する。

の、いずれかです。(例外的にいきなり勝利する効果を持ったカードがありますが)

ラウンドに勝利すると勝利点チップが与えられ、これを規定枚数集めたプレイヤーがゲームに勝利します。

 

【カードの種類】

原版の『ラブレター』では1から8までの数字にそれぞれ1種類のカードが割り当てられていますが、こちらの『ラブクラフトレター』では、各番号に「正気カード」と「狂気カード」が存在し、0のカードも追加されるので、全部で17種類のカードがあります。内訳は省きますが、全部で25枚のカードがあります。

 

【正気カードの効果】

正気カードの方から効果を説明していきます。

1.「探索者」→他プレイヤーを1人選び、1以外の数字を宣言する。それがそのプレイヤーの手札の数字と一致していた場合、そのプレイヤーは脱落する。

2.「ウルタールの猫」→他プレイヤー1人を選び、そのプレイヤーの手札を見る。

3.「イスの偉大なる種族」→他プレイヤーを1人選び、そのプレイヤーと秘密裏にカードを見せ合う。数字が低かった方のプレイヤーは脱落する。

4.「旧き印」→次の自分のターンまで、自分を対象にするカードの効果を無効にする。

5.「アーミテイジ教授」→プレイヤー1人を選ぶ(自分でも良い)そのプレイヤーは手札を捨て札とし、山札から1枚引いて手札とする。

6.「ランドルフ・カーター」→他プレイヤー1人を選び、手札を交換する。

7.「銀の鍵」→自分の手札2枚の数字の合計が12以上である場合、必ず「銀の鍵」を場に出す。

8.「ネクロノミコン→このカードが自分の捨て札に置かれた時、自分が脱落する。

 

これらは全て、原版の「ラブレター」と同じ効果です。

このゲームで異なるのは、これから説明する「狂気カード」の存在です。

 

【狂気カードの効果】

狂気カードは、通常の状態では同じ番号の正気カードと同じ効果になります(「7.輝くトラペゾへドロン」を除く)

しかし、自分の捨て札に狂気カードが1枚でも置かれている場合、そのプレイヤーは狂気状態となり、それ以降に出した狂気カードは、狂気カード固有の効果を発揮するようになります。

 

狂気カードの固有の効果を説明していきます。

1.「深きもの」→他プレイヤーを1人選ぶ。そのプレイヤーの手札が1だった場合、そのプレイヤーは脱落する。1でない場合、正気状態と同様に1以外の数字を宣言し、その数字がそのプレイヤーの手札と一致していた場合、そのプレイヤーは脱落する。

2.「黄金の蜂蜜酒→他のプレイヤー1人を選び、そのプレイヤーの手札を見る。その後、山札から1枚引いて手札に加え、1枚を場に出す(2回行動)

3.「ティンダロスの猟犬」→他プレイヤーを1人選ぶ。そのプレイヤーは狂気状態でなければ脱落する。

4.「エイボンの書→このカードを使用したプレイヤーは、このラウンドの間脱落しない。

5.「ミ=ゴ」→他のプレイヤーを1人選び、そのプレイヤーの手札を奪う。そのプレイヤーは予め脇に置かれている「0.ミ=ゴの検体」を手札とする。その後、自分は手札を1枚場に出す(2回行動)

6.「ニャルラトホテプ→全てのプレイヤーの手札を回収し、任意のプレイヤーに再配分する。

7.「輝くトラペゾへドロン」

→(正気状態)自分の手札2枚の数字の合計が12以上である場合、脱落する。

→(狂気状態)自分の手札2枚の数字の合計が12以上である場合、ラウンドに勝利する。

8.「クトゥルフ→このカードを使用した時、自分の捨て札に狂気カードが2枚以上ある場合、ゲームに勝利する(!)そうでない場合、使用した時点で脱落する。

(0.ミ=ゴの検体)→ゲーム開始時は脇に置かれており、「5.ミ=ゴ」の狂気効果でのみ手札に入る。このカードを使用した時、使用者は脱落する。

 

強いですね。クトゥルフなんか1発勝利ですから。狂気状態最高ですね。

ところが、狂気状態にもデメリットがあります。

 

SAN値チェック】

狂気状態のプレイヤーは、自分のターンを迎える度にSAN値チェックを行わなければならないのです。

 

SAN値チェック→自分の捨て札にある狂気カードの分だけ、山札からカードを引いて捨て札にする。カードの効果は発揮されない。この時、1枚でも狂気カードが捨て札になった場合、その時点でそのプレイヤーは脱落する。SAN値チェックはその時点で終了する。

 

そもそも人間が狂気状態で自我を保つのは難しいので、一定の確率で発狂します。発狂すると脱落です 。

 

【勝利点チップ】

正気状態で勝利した場合は「正気チップ」、狂気状態で勝利した場合は「狂気チップ」をそれぞれ獲得する。

正気チップを2枚獲得するか、狂気チップを3枚獲得するかした時、ゲームに勝利する。

 

 

————

 

疲れましたね。慣れないことはするものではありません。

さて、ルールをやっとこさ説明したので、「このゲームがなぜ大人気ゲームたりうるのか」という点について説明していきたいと思います。

 

大きく分けて、2つあると思います(この人いつも2つある気がする...)

 

 

【1.思考の多様化】

大きな前提として、狂気チップ勝ちが狙えそうな状況以外、基本的にはこのゲームではあまり狂気状態にはなりたくないと思います。

SAN値チェックでは結構な確率で脱落しますし、良い狂気カードを引けないことには狂気状態のメリットが発揮できません。

更にはゲームに勝利するためには狂気チップが3枚必要です。割に合わなそうな感じがしますね。

 

「狂気状態になりたくない」という要素が付くことで、原版のラブレターよりも手札読みが複雑になります。

例えば手札に3と4がある場合。通常では3を出して勝負に行くほどの自信はありませんし、4で守備に回って様子を見たいところ。ところが4が「エイボンの書」であると、出してしまえば狂気に陥ってしまうため、正気チップがリーチの場合などは3で勝負に賭ける確率が少し高くなります。

すると、仮に4で勝利した場合では多少は相手に読まれにくくなりそうですし、4が敗北して捨て札にされれば他プレイヤーはそれなりの情報を得ることができます。

原版のラブレターと比べると、手札の出し方のパターンが少し多様になりますね。『ラブレター』は少しシンプルすぎると思っている方は、より一層楽しめると思います。

 

また、リーチプレイヤーへの対処としても、「5でとりあえずカードを捨てさせて、何とか早めに狂気にさせてSAN値チェックで脱落してもらおう」などという考えも浮かんでくるので、こちらも少し思考が変化しますね。

 

 

【2.狂気のロマン】

とはいえ何らかの理由で狂気に陥ってしまえば、もう怖いものなしです。なんでもいいから狂気カード来い!という気持ちになってきます。この狂気カードが使えた瞬間のテンション上昇がクセになります。

トラペゾヘドロンやクトゥルフで勝利できた場合は絶頂モノですし、ニャルラトホテプなんかでもとりあえず楽しい。

冷静になると、手札を集めて再分配したところで言うほど有利か?とも思いますが、もうこの際勝敗とかそういうのは関係ないです。

みんなの手札を集めることに意味があります。

「エイボーン!脱落しませーん!www」ということに意味があります。

 

いかんせんこの状況の発生頻度があまり高くないので、少しプレイしただけではクセにならないのが難点ですね。

頻度が高くないからこそテンションが上がるわけですが。

騙されたと思って沢山やってください。どこかで目覚めます。

 

 

————

 

ということで、今日は大人気ボードゲームラブクラフトレター」の紹介をいたしました。

やってみたいと思わせることができたかは不安ですが、

「あーなんか20分くらい余った」の時は是非とも、ラブクラフトレターを!お願いします!

 

え?ペンギンパーティをやる?

 

...

 

ペンギンパーティは楽しいので仕方ないです...。負けました...。

 

 

今日もお読みいただきありがとうございました。次回もどうぞ、よしなに。

 

王と枢機卿

 

はい。今日も大人気ボードゲームの話をしていきましょう。

 

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Michael Schacht 作「王と枢機卿

 

僕はシャハト信者なので、またシャハトの名作を選んでしまいました。

ズーロレットは異端です。

 

この作品は普通に人気あると思います。名作です。最高のゲームです。

ムガルに比べると全然とっつきやすく、選ばれしマゾゲー適性者でなくとも楽しめるゲームかなと思います。

 

 

このゲームの最高ポイントといえば、そう、

枢機卿争い>ですね。

これがめちゃくちゃアツい。このアツさをただ語りたいがために、今日はiPadを取り出しました。

 

 

————

 

いつもどおり、ルール解説を土下座しながらたっくんさんに託します。

https://www.tk-game-diary.net/kardinal_und_koenig/kardinal_und_koenig.html

 

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このゲームの得点方法は3種類。修道院得点と、道の得点と、枢機卿得点。

 

修道院得点は結構積み上げ式というか、確定している点数を追う形なんで手堅く稼ぐことができます。

道の得点も重要ですが、あまりここにかまけるわけにもいかないので、副次的に狙う形になるでしょう。

そして枢機卿得点はおなじみの「ナンバーワン以外に意味はない」型の得点です。

 

 

この記事では、激化するナンバーワン枢機卿争いについてのみ触れます。

 

他の要素は無視します!ごめんなさい!

 

 

—————

 

 

さてさて、最初にこのゲームの仕組みについて。

これは枢機卿争いだけでなく修道院争いにも言えることですが、このゲームでは、

「ナンバーワンを取りたいが、ある程度他の人もコマを置いてくれないと得点が上がらない」

というジレンマが強く仕込まれています。

 

早々に「この地域は俺のもの!!」と確定させてしまうと、みんなその地域に入りたがらなくなり、

点数が伸びなくなるのです。

 

ですから、

「ほれほれ、ここ空いてるよ?得点取れそうだよ?来ないの??」

みたいな顔で餌を撒きつつ、相手が食いついてきたら、

「はいザンネーン!ここは僕の支配下でーす!!」

といって餌を引き上げることが必要になります。

 

文字にしたら信じられないほど性格悪いですね。

 

ここからは、この餌の撒き方と、餌ごと手を食われないための引き上げ方について、アツく語っていきたいと思います。

 

————

 

ちょっと今日は画像を使ってお話しますね。

以下の状況を見てください。

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黄色いイタリアに的を絞って話をします。

正直、こんな序盤から枢機卿置くか微妙なんですが(しかもこの形を作るにはルールの制約上2手番かかる)

話の簡略化のために一旦受け入れてください。

 

この状況から黒以外のプレイヤーがイタリアに自力で枢機卿を置くためには、

まず修道院を2個おいてイタリアに枢機卿を2個置ける状態にして、それから枢機卿を置く。

という手順を踏む必要があります。

 

1手番に置けるコマ数は最大2個なので、どうあがいても2手番かかります。めんどくさいですね。これではなかなかやる気が出てきません。

とはいえここに枢機卿を置いてもらわないと、黒プレイヤーとしては美味しくない。そこで餌を撒いてあげましょう。

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このように修道院を1個置くと、イタリアにはもう1個枢機卿が置ける形になるので、他プレイヤーも「それなら仕方ない」と思ってくれるかもしれません。

 

青プレイヤーが素直に、

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こう置いてくれると黒プレイヤーはご満悦でしょう。

修道院の最大数は余裕で黒が持っているため、イタリアに置ける枢機卿の数は黒プレイヤーのサジ加減次第です。

青プレイヤーが自力でここにもう一つ枢機卿を置くためには、4個イタリアに置かなくてはなりません。

4個でも理論上2手番でできますが、かなり難しいでしょう。

この状態であれば、黄色を2枚貯められたタイミングで、

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こうしてしまえば黒プレイヤーのイタリアでの枢機卿ナンバーワンは確定です。嬉しいですね。

ところがそうはさせまいと、青プレイヤーがこういう風に入ってきたとしましょう。

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これは背筋が寒いです。

「青プレイヤーが自力でここにもう1つ枢機卿を置くためには、修道院2個を先に置かなければならないので2手番かかる」

という点では最初と変わりませんが、

「もしもう1つ枢機卿を置けたなら、青プレイヤーは確実にイタリアの枢機卿で単独トップを取れる」

というめちゃくちゃでかいリターンが生まれます。

チャンスがあれば青プレイヤーはここを取りに来るでしょう。

 

こうなったが最後、黒プレイヤーは悠長に餌を撒いている気分から目を覚まして、早急にイタリアに修道院枢機卿を同時置きすることが必要です。

「あれ?青は2手番かかるんだから、そんなに焦らなくてもいいんじゃないの?」

と一瞬思ってしまいますが、めちゃくちゃ焦らないといけません。

次のターン、仮に青プレイヤーから見た状況が、以下のようだったとしましょう。

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すると青プレイヤーは、紫だか茶色みたいなカード2枚でワイルドカードを作り、イタリアに修道院を1つ置くことができます。

この時点で青プレイヤーは、

「次に修道院枢機卿を同時置きできれば、1手番でイタリアを手中に収めることができる」

という状況に変化します。変化した上で、

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場から2枚とってこの形になれば、次のターンにはイタリアが陥落します。

この時、黒プレイヤーに残された手番はなんと1手番。

 

この1手番で「イタリアに修道院枢機卿を同時に置いて、イタリア陥落を阻止する」という動きが必要になります。

 

さて、そう都合よく黄色が2枚あるでしょうか??

 

なんなら、黄色が2枚作れないってこと、今青プレイヤーにバレてたりしませんか??

って話ですね。

 

餌を撒いている間中、ずっと黄色のケアをすることはできません。だって手札3枚しかないですから。

他のところに効率よく置こうとすれば、当然手札から黄色が逃げて行きます。

山札ではなく場からばかりカードをとっていれば、当然黄色が逃げていき、黄色が入っていかない手札を相手に確認されてしまいます。

 

このゲームはプレイ中、常にこんなことが「各地で」起きています。

 

全てを真面目に考えるならば、

 

・餌を撒きつつ、

・有事の際にはすぐにカバーできるように目を光らせながら、

・一方で他のプレイヤーの領土を餌ごと食いちぎるチャンスを狙い、

・手札はなるべくばれないように山札から適度に引き、

・でも効率よくカードを重ねて2個ずつ置きたい。

 

みたいなとんでもないバランス感覚を要求されます。

 

最高のゲームですね。

 

何度でも楽しみたい名作と言えるでしょう。

 

————

 

ということで、王と枢機卿における枢機卿争いについて、アツく語りました。

王と枢機卿が最高のゲームであるということが、存分におわかりいただけたかと思います。

 

自粛開けには是非遊びましょう。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

次回もどうぞよしなに。

 

ごきぶりポーカー

はい。今日も大人気ボードゲームの話をします。

「はいはい」って思ったでしょう?

ムガルは局所的大人気ゲームでしたが、こちらは広く人々に愛される系大人気ボードゲームです。

 

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Jaques Zeimet 作 「ごきぶりポーカー

 

「え?お前今更ごきぶりポーカーの話するの??頭大丈夫??」

って思った方、多いと思います。

 

します(憤怒)

 

頭はダメです。

 

まずルールを確認していただきましょう。

簡単なルールなので、すぐ読めます。すでにご存知の方も多いと思いますが。

いつものたっくんさんブログを貼ります。ありがとうございます。

 

https://www.tk-game-diary.net/kakerlakenpoker/kakerlakenpoker.html

 

おそらくボードゲームを始めたての頃に出会う方が多いのではないでしょうか。

僕が初めて買ったボードゲームは、2個同時に購入した

ごきぶりポーカー」と「カタンの開拓者たち」だったと思います。

メジャーなゲームではあると思います。

 

 

しかし、個人的な印象としては、意外とパーティー系の流れでも良く立つ感じはしません。

定番のフリしてるけどそんなに定番じゃないのかな?

他のボードゲームの味を知った人たちは、もうごきぶりの所へは戻ってきてくれないのかな?

と悲しい気持ちになってしまいます。

 

それは多分、実はちょっとクセが強く、難しいゲームだからだと思います。

カタンもそうなんですけど、初心者歓迎のフリして実は難しいゲームありますよね。

この点についてはちょっと思うところがあるので、後で話します。

 

————

 

ごきぶりポーカーというと、ボードゲーマーのソウルコミック(?)「放課後さいころ倶楽部」でも取り上げられたことがあります。第5話ですよ、第5話。大人気ゲームですね。

 

この第5話では、クール系巨乳女子高生の大野ちゃんが、

「まだ害虫の種類も覚えきらない初心者が "カメムシ” なんて...とっさに出る名前じゃないわ」

などと強烈なマウントを取り始めるシーンが話題になりましたね(?)

 

ちなみにこの第5話の卓は、

ごきぶりポーカーガチ勢の大野ちゃん

・人の心を見透かす精神系能力者武笠ちゃん

・正直村の住人の高屋敷ちゃん

・高屋敷親衛隊バカの田上くん

の4人で進行します。武笠ちゃんかわいい。

 

ガチ勢と親衛隊は置いておいて、現実の卓でも精神系能力者と正直村の住人が分かれることが多く、正直村の住人がカードを貯め始めると集中攻撃を受けてかわいそうになる、というのがこのゲームの定番の流れです。本当に大人気ゲームなんですか??

 

負け決めゲームですし、漫画内では田上くんの迷走っぷりが話を面白くしていますが、現実では結構敗者がかわいそうなゲームなんですよね。

良心が痛みますねぇ(満面の笑み)

 

 

正直村の住人の方は、おそらく一生正直なんだと思います。

だから精神系能力者のお話をしても、実践するのは難しいかもしれません。実際モダンアートの記事でもトリテの記事でも似たようなことを話してるんですが、いまいち伝わってる気がしないです。

 

ですが、精神系能力者が一体何を考えているのかは、今日もしつこく伝えていこうと思います。

 

 

————

 

 

精神系能力者は別の人類だと思っている人の中には「ごきぶりかどうかとか、1/2じゃん。運ゲー」と思っている人までいかねませんが、

精神系能力者は、目の前の情報からあらゆる可能性を模索し、1/2の壁をなんとか乗り越えようとしている人類種なのです。

 

ですが、その判断要素が挙げきれないほどあるので、なかなかこれが伝わらないのです。

パッと思いつくもので、

 

・その人の思考のクセ

→大事な時ほど裏をかきがちとか、保守的でスキがないとか。

 

・「ごきぶり!」と「...ごきぶり」は違う意味がある。

→人それぞれだけど、意図を持って発声を変える人もいるし、無意識に変わる人もいる。

 

・追い詰められた状況(負けが目の前の状況)では、人の取りうる選択肢は極端に狭まる。

→自分がリーチの状態では、そう何度もリスクの高い行動はできない。

 

・明らかにニヤニヤが隠せない奴がいる。というかポーカーフェイスの奴がむしろ少ない。

→例えば自分がカメムシリーチだとして。プレイヤーAがプレイヤーBに対し、「これはハエだよ」などとニヤニヤ言っている場合、プレイヤーAは実はカメムシを出していて、「これでワンチャン、カメムシがリーチのあいつに回って行ったらめっちゃ愉快だなぁw」と思っている可能性は結構高い。もちろん性格にもよるけど。

 

・そもそもの発想の限界

→大野ちゃんの話は極端ですけど、初心者じゃなくたって、初手から場にも出ておらず手札にもない生物の名前を嘘として宣言することは難しいと思います。よっぽどのガチ勢でなければ。よっぽどのガチ勢は大野ちゃんくらいしかいないと思います。

つまりは完全ランダムに生物の嘘宣言をすることは困難で、1ラウンド前の宣言生物・誰かがちょっと多く持っている生物・手札に2枚ある生物など、何かしらの影響を受けて宣言をするはずです。

 

どれも単体では役に立たなそうですが、うまく人によって合成すると、「その人が今理想としてそうな展開」の候補が出てきます。出てくるんです。これは読みゲー全般に言えることで、この「誰かの青写真を一緒に見る」という行為が出来た時、人は精神系能力者になるのです。

 

 

はい、何言ってるかわかりませんね。

 

 

わかる人にはわかると思っているんで、「わかる!」と思った人はご一報ください。僕が安心します。

 

精神系能力者の解説はこのへんが限界です。

 

————

 

さて、ごきぶりポーカーとかカタン、難しくない?なんで初心者にだすの??」

という話に戻ってもいいですか?

 

 

 

...

 

 

 

スクロールしたということは良いんですね、ありがとうございます。

 

 

初心者に出すゲーム論は人類永遠の課題なので、議論に決着をつけようとは思いませんが、

思ってることだけ放り投げようと思います。

 

ケースバイケースですが、ケース自体が大きく2つに分かれると思います。

 

①一回でいいから!先っちょだけでいいから!とにかく今、ボードゲームに触れてみてくれ!!

というケース。

 

・恋人がボードゲームに完全な拒否反応を示していて、重ゲーなんかどうでもいいからボードゲームを一緒にしてほしい。

・旅行に持って行って、ボドゲ知らない人とも楽しみたい。

・軽ゲーを酒飲みながらやるぞ!一見さん大歓迎!!なボドゲ会を開催する。

 

こういう場合は、ワードゲームやアクションゲームなど、簡単に盛り上がれるゲームを出せば良いでしょう。ボブジテンやら何やら。

今時パーティーゲームがたくさんあっていいですね。ひと昔前なら大富豪とUNOの2択ですから(?)

こういう一過性の場合は問題が少ないです。一方で...、

 

②この世界には2種類の人間がいる。ボードゲームにハマる人間と、ハマらない人間だ。今からそれを選別する。

というケースもあります。

この2つをごっちゃにしないだけでも議論がすっきりすると思います。

 

さて、このケースの場合、個人的にはボードゲーム...底が見えねぇ...!」

と思ってもらうことが大事だと思います。

そして初心者なので、ルールがある程度わかりやすいことも、もちろん大事。

 

底が見えないっていうのは、次のプレイの希望が見えるってことです。

「次はこうしよう」が無限にありそうな気分にさせられるのがいいですね。

ムガルには絶望しかないのでダメです。

 

その辺だとやっぱりカタンドミニオンカルカソンヌとかいう王道達が並んでしまうのかなと思います。

ドミニオンは好きだけどカルカソンヌは糞ゲー」という人はたくさんいると思いますが、そこの前段階の話として。

 

ちなみに、底の見えなさを見せたいので、手加減はNGだと思っています。

インスト勝ち、全然アリ派です。

でも、華のある勝ち方がいいですよね。「やられた...何が起こった...次こそは...」という感じが理想。

 

カルカソンヌでいうと、

「城が...乗っ取られた...?どうして...どうしてこんなことに...?」

「あいつ...いつのまに寝ていた!?寝ているだけでそんなに点数出るのか!?」

などなど、「次は自分もあれがやりたい」と思ってもらえるといいのかなって思います。

 

まぁでも、強くても憧れないこともありますけどね。

虚ろな目で音速おばけキャッチ披露してる人、怖がられる可能性あるんで。

 

 

————

 

というわけで、今日はごきぶりポーカーをダシにして、言いたいことを言いました。

 

今回もお読みいただき、ありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

 

ムガル(MOGUL)

はい。これから大人気ボードゲームの紹介をします。

 

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Michael Schacht 作 「ムガル」

(上が旧版、下が新版)

 

ボードゲーム記事も5個目にしてようやくこの時が来ましたね!

僕のことを知っている人にとっては、出オチ感が否めないと思います!ごめんね!!

 

これは大人気ボードゲームです(大声)

 

どれくらい人気かということを示したいので、

「ボードゲーマー100人に聞いたらこんな感じになるだろう」という円グラフを用意しました。下記になります。

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ご覧の通り、大人気ボードゲームであることがわかります。

なんせ3%の人間が「大好き!」なのです!!

今時のマーケティングはコアファン重視のファンマーケティングですから、大人気ですね!(?)

 

しかし問題があり、なんと90%の人が「嫌い」なんです。

嘆かわしい。

そもそもボードゲーマーの皆さんは、(僕はそうでもないですが)寛大な方が多いです。

多少の好き嫌いはあれど、「そのゲームはちょっとやりたくない」というゲームは少ないという印象です。

2時間超級のゲームであれば、あまり好まないゲームに難色を示す人は居てもおかしくないですが、

このゲームは1時間あれば終わります(悩みすぎて深淵を覗き、深淵に覗き返されなければ)。

 

そんな皆さんが「ムガルは嫌です」と仰るのです。

 

なんということでしょう。これではゲーム会で立卓しません。

そういうわけで、世界中のムガルファンは悲しんでいることと思います。

 

さて、今日僕がこれを書き始めたのは、

皆さんにムガルを好きになってもらうためではありません!!!

 

それは無理です!!!!!

 

ムガル愛を語る選ばれし人間は僕しかいないから書くのです。

 

「男には、負けると分かっていても戦わなくてはならない時がある...」

 

 

ということなので、ムガルの愛のセレナーデを奏でましょう(?)

 

————

 

ルールについては、いつものたっくんさんブログをご覧ください。

https://www.tk-game-diary.net/mogul/mogul.html

 

 

新版と旧版でルールが違うのですが、上記は旧版のルールで、とりあえず今から話すのは旧版の話で、僕が好きなのも旧版です。

あまり新版って見ないですけどね。旧版もあんまり売ってないけど、新版はもっと売ってない気がする。

 

でも新版にもちゃんと触れるので安心してください。

 

————

 

さて、ムガルというゲームは、競りゲームに分類されると思います。

「居残り競り」とでも言いましょうか。

 

・一枚ずつコインを出していって、「やーめた」と思った人から降りていく。

・抜けた人にはなんらかの恩恵がある。

・残った人は主目的を達成できる。

 

まぁこの辺が、「居残り競り」タイプの共通点かなと思います。

 

競りシステムの観点で見たときに、このゲームが嫌われる要素は2つあると思います。

 

①競りから抜けた時に得られる金額の相場感が掴めない

 

3人ベストと言われている気がするので、例えば3人プレイで自分が初手番、全員コインを乗っけて1周し、3金乗っかってる状態で自分の手番が来たとします(ちょっと想像しづらくて申し訳ありません)

これを今取ると、1枚は自分の手の中から出しているわけなので、このラウンドでの収入は差し引き2金ということになります。

 

2金です。2金を得て1ラウンドが終了します。

 

2金を得て1ラウンドが終了して、ご満悦のボードゲームプレーヤーはほぼいないでしょう。かなり渋いです。

 

7wondersで渋々カード捨てたって3金貰えますから。

 

ところが、2金収入では渋いので4金目を出したとしましょう。仮に2手番目の人も1金乗せたとしましょう。

すると、3番手プレイヤーには5金が乗った状況で手番が回ってきます。これを取れば、このプレイヤーは差し引き4金をこのラウンドで得ることになります。3人プレイで最初に6金ずつ配られていて、誰も借金をしていないとすれば、全体には18金しかないことになります。

このラウンドが最初のラウンドだったと仮定すれば、4金プラスなら所持金は10金になり、10/18のお金を手にすることができます。まずまずの状況と言えるかもしれません。ということで、3番手がこれをとったとしましょう。

 

するとどうでしょう。

 

1番手の自分は2金を払った状態で、場にはお金が乗っておらず、2番手プレイヤーと一騎打ちになります。

この状況から、このラウンドの収支を2金プラスにするためには、

「2番手プレイヤーと互いに4金ずつ出し合って、8金貯まった状態で降りて引き取る」

ということが起きなければなりません。

中盤以降に借金地獄が発生しており、魅力的なカードが出ている場合ならあり得ますが、序盤ではこんなことは起きません。

 

こうなると、いま僕たちは「このラウンドでお金が欲しいなら、2金プラスの時点で降りなければならなかった」

という驚愕の事実を突きつけられました。

 

渋い。

 

渋すぎる。

 

このゲーム、貰えるお金がかなり渋いんです。

「えー、2金なのー??しょぼいー」とかいってスルーしていると、痛い目を見る仕組みになっています。

そのあまりの渋さに思考が付いて行かず、90%の人間はムガルが嫌いになることでしょう。

 

さらに、もう一つ悲しいことがあります。

 

②競りに残れたとして、貰える賞品が渋い

 

また渋いのかお前、という話なんですが、渋いです。

このゲームにおける競りの対象は、「1枚の株券」or「特定の色の株の売却権」です。

 

まずもってめちゃくちゃ渋いのが、売却権です。

序盤においてはそもそも株券が手元に全然ないですし、あったとしても少ない点数の株券を売って点数を稼ぐのも考えものです。

株券の価値が累積的に上昇するので、株券を売るという行為は、未来の高額株券を手放してしまうことにもなりかねません。

 

ということは何かというと、序盤の売却権はほぼ無です。

 

ほぼ無なので、お金ではなく点数の得られる行動をしたいのであれば、競りで1位にならなければなりません。

ナンバーワン以外に意味はないのです。オンリーワンを気取っている場合じゃない。

 

しかし1位になろうとして競りに残れば、①で説明した通り、お金視点の損益分岐点がかなり遠くなります。

 

誰も幸せになっていませんね。

 

想像よりも渋いリターンを求めなければならない上に、うまく立ち回っても渋い。これがムガルです。

 

この他にも、

・「相手が株券を取得しそうなので競り2着に甘んじたら空売りをされて売れない」とか。

・まだ残っているはずの売りカードが出ないまま大暴落カードによってゲームが終了したりとか。

 

悲しいことがたくさん起きます。渋いことがたくさん起きます。

 

うーん、マゾゲーはたのしい!!✌(’ω’✌ )三✌(’ω’)✌三( ✌’ω’)✌

 

 

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ということで、皆さんがムガルを嫌う理由がご理解いただけたかな、と思います。

しかし、理解したからと言って何かが解決するわけではないのです。

 

ムガルはムガルなのです...。

 

他の何かにはなれないのです...。

 

ということで、嫌いなひとは嫌いなままで生きてください。こればっかりは止められません。

僕はわずかに生息しているムガル星人たちと密会して遊びます。

 

 

新版の話を最後にしましょうかね。

あんまり好きじゃないんで、ざっくりしか覚えてないんですけど。

 

競りに残った2人が利益を得られるのは同じなのですが、第3の選択肢「マップに駒を置く」が登場します。

同じところに駒を置くほど得点が高くなるような感じだったと思いますが、確か1個置いただけでも1点もらえたと思います。

つまり重要なのは「点数確定行動が登場した!」ということです。

 

いままで虚無だった競り2番手に対する、かなり大きな救済措置です。

さすがのシャハトもやりすぎたと思ったんでしょう。

 

これでムガルは悲しみをかなり緩和しましたが、

 

悲しくないムガルをやる必要があるのか...?

 

それなら素直にゲシェンクをやればよくないか...?

 

ということになると思うので、僕は旧版ムガルを愛し続けます。

 

 

以上、今回もお読みいただきありがとうございました。